2011 Fiscal Year Research-status Report
海外における日本神話研究の歴史とその現代的意義の再検討
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23520087
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
松村 一男 和光大学, 表現学部, 教授 (70183952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平藤 喜久子 國學院大學, 研究開発推進機構, 准教授 (50384003)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本神話 / 研究史 / 比較研究 |
Research Abstract |
日本神話は日本文化を構成する重要な要素でありながら、軍国主義時代における利用のされ方が尾を引いて、戦後日本においては意図的に研究も評価も避けられる傾向が強かった。しかし、その学問的・文化的重要性は明らかであり、これまでの研究成果を集成し、現段階における学的評価を添えて、今後の研究推進の糧とするためにも日本語はもちろん、英語においても広く発信する必要を感じてこの研究計画は発足した。 日本神話の研究は明治の開国以来の蓄積があり、また主として人文系の多くの分野の研究者によって論じられてきた。その全体像を描くために資料を蒐集し、利用しやすく整理することは容易ではないが、日本文化の意義を世界に向けて発信するためには是非とも必要な作業である。 また日本国内での研究成果だけでは不十分である。近年の海外の日本神話研究の高まりには括目すべきものがある。多くの研究者が日本留学経験を持ち、外部の視点から従来とは異なる研究を発表している。そうした海外でも研究についても広く紹介し、日本での研究と併せて、より完全な日本神話研究史を完成させることが最終的な目標となっている。 海外での研究の紹介は、日本神話が日本文化のみならず世界文化にとっても重要であることの認識を広めるためにも必要である。また、海外の研究者との交流ネットワークの構築は、ともすれば孤立しがちな諸国での日本神話研究がつながっていき、より生産性の高いものとなることに寄与すると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究活動として以下の四点を掲げた。(1)「海外における日本神話研究の現状調査」これについてはドイツのチュービンゲン大学およびフランスのストラスブール大学について調査を行うことができた。(2)「『古事記』『日本書紀』の翻訳状況に関する調査」も予定通りに行われた。ドイツでは『古事記』のドイツ語訳が刊行されることとなった。(3)「1970年代以降の神話学における日本神話への言及の調査」これは資料の蒐集は順調に進んだが、その分析はまだ端緒についたばかりであり、他の活動に比べると進捗が遅れている。(4)「国際比較神話学会等での研究発表と情報交換」これは順調に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ研究計画は順調に進んでいるが、今後課題となるのは、一点目としては、代表者と分担者が互いの研究成果を共有する機会をもっと増やすことであろう。それによってさらに研究の深化を図りたい。そして二点目としては、これまでの成果の公表も進んではいるが、より多くの国の内外でも学会や研究会、シンポジウムなどにおいてこの研究計画の意義や成果を積極的に公表していくことが挙げられよう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
欧州の研究についての調査や研究者との交流は進んでいるが、アジア諸国やロシア、そしてアメリカ大陸における研究の調査ならびに研究者との交流はまだまだ不十分である。韓国については調査ならびに研究者との交流がすでに具体化している。ロシアとアメリカ大陸とくに合衆国とカナダについてはこれから進めていきたい。 平成24年度は『古事記』成立1300年にあたり、日本神話への関心が高まっている。国内ではすでに複数の場から研究成果公表の依頼があるので、そうした場を使って研究成果の公表に積極的に努めていきたい。
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Research Products
(5 results)