2013 Fiscal Year Annual Research Report
近代の伊勢神宮改革と御師制度廃止に伴う伊勢信仰の相克に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23520088
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
櫻井 治男 皇學館大学, 文学部, 教授 (00087735)
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Keywords | 近代の伊勢神宮 / 御師 / 大物忌父岩井田家 / 神宮大麻 / 参宮と宇治山田 / 伊勢信仰 / 社会変動と神道 |
Research Abstract |
【最終年の研究成果】 研究計画に従い、1)未調査資料の確認、研究活用のための目録化作業と総目録作成の準備、2)本研究以前に作成された調査カード記載の資料情報の正確さと本調査の資料情報との整合性を図るため、原資料とのチェック作業を進め約1000件の処理を終えた。毎月の資料調査、特殊用紙封筒を用いた保管整理を進めた。3)調査対象資料の解読と内容把握により年度末の未公開資料特別展に備えた。4)関係資料の調査・収集を慶應義塾大学・神宮文庫等で行った。5)成果公表として、未公開資料の特別展を開催した。展示会用の冊子に研究内容を反映させた。短期間ではあったが、220名の見学があり、本研究に対する高い関心が示された。但し、展示会用の適切な施設確保が困難で、展示資料数の削減、期間の短縮など課題が残った。 【研究期間全体の研究成果】 期間中は、1)岩井田家資料約2万点の目録化と全体像の把握、2)岩井田家旧檀那地域の伊勢信仰実態、3)御師制度廃止に伴う神宮大麻配札問題、4)伊勢の近代史における神宮改革の影響の研究に焦点化した。1)岩井田家資料の特色は、①物忌父職・近代の神宮職員、②神宮改革以後の神宮祠職・御師の状況、③近代以降の旧御師と檀家地域の伊勢講の関係、④伊勢の近代化、⑤館町時代の神宮皇學館資料にあり、特に1)~4)の資料群が研究活用度の高いことを明らかにすることができ、6000件のデータ処理を終えた。2)3)は岩井田家資料により旧檀那地域と同家とが昭和戦前期まで関係があったこと、現地調査により平成20年初頃までの伊勢講存続を明らかにし、御師制度の廃止イコール伊勢講の消滅ではないこと、旧御師が旧来の参宮者受入機能を継承している例などを明確にした。 また、伊勢神宮の鎮座する伊勢の近代化と新たな社会形成の研究に岩井田家資料が有する高い価値を示すことができたことは大きな成果と言える。
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Research Products
(7 results)