2011 Fiscal Year Research-status Report
日本産ブラジル系プロテスタント教会のトランスナショナルな宗教実践に関する研究
Project/Area Number |
23520090
|
Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
山田 政信 天理大学, 国際学部, 准教授 (70434975)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交流 / 宗教学 / 宗教社会学 / デカセギ / デカセギ帰還者 / プロテスタント / ブラジル / ペルー |
Research Abstract |
2011年8月にブラジルで実施した海外学術調査では、主としてインタビュー調査が行われた。対象は次の3つである。(1)ロンドリーナ・ホーリネス教会におけるデカセギ帰還者。(2)ロンドリーナ市内の日系人教団(生長の家および日系カトリック教会)。(3)ミッソン・アポヨ教会のデカセギ帰還者。さらに、同海外学術調査では(4)ペルーでの調査についての準備会議を行った。このほか、国内の調査では、7月に明治公園で開かれたジーザスマーチの参与観察、およびデカセギ帰還者を送り出したミッソン・アポヨ教会の牧師へのインタビュー調査を実施した。また、調査後、インタビュー調査の結果を整理するため、膨大な量のテープほどきを行い、ポルトガル語から日本語に翻訳した。さらに、日本宗教学会第70回学術大会において研究の中間報告を行った。 海外学術調査の詳細は次のとおりである。(1)ロンドリーナ・ホーリネス教会で行った調査の結果を、研究代表者が2010年度天理大学学術・研究・教育活動助成を受けて行った研究成果として出版する予定の研究論文の補足資料として用いた。(2)ロンドリーナ市内の日系人教団を訪問することにより、中規模の日系人が集住する地方都市の諸宗教においてデカセギの影響を比較研究することが本研究にとって有効であることが分かった。2012年度調査ではパラナ州マリンガ市の研究者と共同研究プロジェクトを立ち上げる予定である。(3)サンパウロ州内陸ヒベイロンプレット市及びグアイーラ市においてデカセギ帰還者が創設した二か所のミッソン・アポヨ教会を視察し、創設の経緯及び活動状況について聞き取りを行った。また、北東部レシーフェ市では、ブラジルの新天地への「再移住」を決意したミッソン・アポヨ教会信者にインタビュー調査を行い、彼らの宗教動向を探った。(4)サンパウロ・メソジスト大学のパウロ・バレラ教授にペルーにおける共同研究を依頼した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の特徴は、日本におけるデカセギの宗教動向を探ることにとどまらず、帰国した人々が当該諸国で再適応する際にどのように宗教財を用いているのかを探求するというトランスナショナルな問題意識を持っていることと、様々な教団を俯瞰し、横断的にこの問題を理解しようとする方法にある。前者に関しては、日系人中心で展開するホーリネス教会についての調査を終了することができた。これにより、研究代表者が2010年度天理大学学術・研究・教育活動助成を受けて行った研究成果に、本科研調査の結果を補足資料として用い、本年度中に研究論文を出版する予定である。ミッソン・アポヨ教会については、ブラジルにおける二か所の教会設立について調査を行い、今後はその補足調査と教会につながる人々が日本から移植された宗教財をどのように受け止めているのかを調査することが残されている。後者に関しては、中規模の日系人が集住する地方都市マリンガにおいて、諸宗教におけるデカセギの影響を比較研究するという問題意識を2011年度の調査において抽出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究で明らかになった今後の課題として、(1)サンパウロ州内陸都市にある2か所のミッソン・アポヨ教会での教会設立および信者による活動状況の実態調査、(2)ペルナンブコ州レシーフェ市近郊に「再移住」したミッソン・アポヨ教会信者の宗教動向調査、(3)パラナ州マリンガ市における日系宗教教団を中心とした、デカセギ現象が当該教団に及ぼした宗教活動への影響に関する実態調査(共同研究)、(4)ペルーに帰国した元デカセギの人々の宗教動向調査(共同研究)、がある。 当初の研究計画では神の恵み国際教会での調査を予定している。研究代表者は同教会牧師との連絡を継続しており、今後研究課題として具体的に組み込む(組み込める)かどうかを探ることになる。 研究計画では予定していなかったが、本研究課題の複眼的な精査を目的に、平成23年度に依頼した研究分担者2名が日本国内における韓国人および東南アジア人(インドネシア人)のプロテスタント教会で宗教実践の調査を行う。それにより、本研究が狙いとする越境的な研究方法を彫琢する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)サンパウロ州内陸都市にある2か所のミッソン・アポヨ教会での教会設立および信者による活動状況の実態調査、(2)ペルナンブコ州レシーフェ市近郊に「再移住」したミッソン・アポヨ教会信者の宗教動向調査、(3)パラナ州マリンガ市における日系宗教教団を中心としたデカセギ現象が当該教団に及ぼした宗教活動への影響に関する実態調査、(4)ペルーに帰国した元デカセギの人々の宗教動向調査、(5)日本国内における韓国人および東南アジア(インドネシア)のプロテスタント教会での宗教実践に関する調査。
|
Research Products
(1 results)