2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本産ブラジル系プロテスタント教会のトランスナショナルな宗教実践に関する研究
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23520090
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
山田 政信 天理大学, 国際学部, 教授 (70434975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
魯 ゼウォン 天理大学, 国際学部, 教授 (30303572)
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 宗教学 / 宗教社会学 / デカセギ / プロテスタント / カトリック / ブラジル / スペイン・ポルトガル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本とブラジルの日本産ブラジル系プロテスタント教会における宗教実践が、デカセギの日本社会への適応と帰国後の新たな環境への再適応にどのように機能するのかを明らかにした。新たな知見は次の通りである。①宗教実践とその実践者が生み出す社会集団(教会や集会)は異文化に適応するための有効な場として機能する。②その集団はホスト社会のみならず出身国においても越境的だが、同時に他の類似する集団にメンバーの橋渡しを可能とする脱伝統的な新しいコミュニティとして位置付けられる。③母国に帰還した人々は時間の経過による社会関係の変化に適応することが難しいと感じることが多く、同様のことは宗教実践者においても以前繋がっていた教会(集会)で起こることがある。④経済状況の低迷といった社会情勢の変化がみられた時、母国に帰還する傾向はペルー人やボリビア人よりもブラジル人の方が強いとみられる。 これらは、日本とブラジルの二つの国をとり結ぶ宗教運動のバイラテラルなダイナミズムを追求する本研究の重要な成果であり、平成27年3月に行ったポルトガルとスペインにおける調査でも確認することができた。この二つの国での事例研究は、今後のテーマとして発展させる予定である。 本研究は、グローバリゼーションが引き起こす人の移動を、出身国と移動先国における適応と再適応に着目して双方向的な視点で理解した。これは、昨今の社会現象としての越境を動的に理解するための方法として有効であるとみられ、日本とブラジルのみならず、今後、ブラジルとスペイン・ポルトガル間の移動の研究においても成果が期待できると思われる。 なお、当初の目的では神の恵み国際教会を調査する予定だったが、当該教団としての活動を中止したため、平成26年度に神の王国ユニバーサル教会を調査した。この調査については未だ予備調査的な段階であるため、今後の課題として取り組んでいきたい。
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Research Products
(2 results)