2011 Fiscal Year Research-status Report
中国の古代から中世に至る思想・美術の空間的歴史軸構築への模索
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23520102
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
片倉 望 三重大学, 人文学部, 教授 (70194769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 伸也 三重大学, 人文学部, 教授 (20283509)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 空間的歴史軸 / T字型帛画 / 楚帛書 / 長沙子弾庫楚墓 |
Research Abstract |
23年度は、機器の整備と購入した文献の分析、並びに読解を中心に作業を進めた。このうち、機器については、購入した部品によって、コンピュータのバージョンアップを図り、また、分担者とサンプルを入力しながら、整理のためのプログラムを準備した。しかしながら、前半には東日本大震災があり、また、後半にはタイの洪水があって、コンピュータ部品の価格が高騰し、とりわけ、購入予定だった2TBのハードディスクが二倍以上の値段となってしまった。そこで、今年度におけるデータ保存用のハードディスクの大量購入は断念し、また、データの入力も最小限に留め、代わりに次年度以降に購入予定であった書籍を購入して、その読解と分析とを最優先に行った。 23年度に明らかになったことは、以下の如くである。すなわち、思想・美術の空間的歴史軸を構築するという、本研究の動機ともなった馬王堆漢墓出土のT字型帛画と『楚辞』との関連性は夙に指摘されている所ではあるが、神話的九重の天の構造と、T字型帛画の構造的類似性が持つ意味についてはこれまで言及されることがなかった。今回、分担者と入力したT字型帛画の画像分析の結果と、屈原の霊魂が辿る階層的ステージの持つ意味とが、何故、帛画がT字型でなければならなかったのかという問題を解く有力な手がかりを提供することが明らかになった。そして、この結果をひとまずの指針として、漢代における上下の空間の持つ意義と構造とを分析することが可能ではないか、という大まかな見通しが立った。とは言え、東西南北、四方への広がりの持つ意味と構造の分析については手つかずであり、既に入力ずみの「楚帛書」や長沙子弾庫楚墓から出土した一連の帛画に加えて画像石等に見られる四神獣関連の画像を早急に入力し、整理する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に述べたように、主に自然災害が原因の入力の遅れはあったが、その分、画像の分析とプログラムの構築、さらに、文献の読解等の面に作業をシフトしたため、大勢には影響なく、研究はおおむね順調に進展していると言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に入力を見合わせた青銅器関係の画像資料データをコンピュータに入力し、その解析を行う。また、美術史関係のCD-ROM等の資料の整理を行う。さらに、23年度に同じく、分担者と週2回のペースで文献の読解と図像の解析結果についての検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に購入予定だった中国美術関係CD-ROMは、23年度にシフトして購入したため、その分の費用を、23年度に価格高騰のため大量購入を控えたハード・ディスク当てる。また、当初に予定していた中国先秦諸子関係図書を購入する。なお、データ入力が多少遅れているため、入力作業に従事する院生への謝金も充分に準備する必要があろう。
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Research Products
(3 results)