2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
京谷 啓徳 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (70322063)
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Keywords | 教皇 / ポッセッソ / 行列 / 凱旋門 / タブロー・ヴィヴァン / 入市式 |
Research Abstract |
本研究では、ローマの教皇宮廷において執り行われたスペクタクル、とりわけ新たに就任した教皇がおこなう、ヴァチカンからラテラノ聖堂へのポッセッソの行列において、どのように美術要素が機能したのかについて解明することを目指した。教皇庁の公式記録、同時代人の日記、書簡ほかの各種記録を収集整理することにより、ポッセッソの際の沿道の装飾、凱旋門をはじめとする各種アッパラート(仮設建造物)やタブロー・ヴィヴァン(活人画)の実態を明らかにした。 平成25年度は研究計画に従い、ポッセッソと関連事項との比較研究、すなわち宗教行列、古代ローマの凱旋入城式、世俗君主がローマで執り行った入市式との関係について資料収集および考察をおこなった。ポッセッソは行列と装飾、仮設建造物、演劇的儀礼等からなる複合的なスペクタクルであるが、まずキリスト教の文脈において、聖体行列、イコン行列などの宗教行列との影響関係を調査した。また古代文献に語られ、また遺跡として残存する凱旋門等にも浮き彫り彫刻のかたちで刻まれた古代の凱旋入城式とポッセッソの関係について、とりわけ美術的な側面からの検討をおこなった。ルネサンス期にはカール5世を始め世俗君主がローマで入市式を執り行ったことが記録に残るが、それとの関係についても分析をおこなった。またポッセッソはルネサンス期のみに限られるものではなく、バロック期も引き続き壮麗なポッセッソがとりおこなわれ、近代に至る。今年度はバロック期や近代のポッセッソについても調査を実施し、今後の研究発展への基礎作りとした。
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Research Products
(3 results)