2013 Fiscal Year Research-status Report
パラオにおける日本語歌謡の収集と分析―民族音楽学的・言語学的観点から―
Project/Area Number |
23520163
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
小西 潤子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (70332690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DANIEL Long 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00247884)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
戦前、日本植民地下にあった旧南洋群島において、現地の人々が日本の音楽を受容しそれを発展させた日本語歌謡を創作した。なかでも、パラオは日本語歌謡の集積・発信地となったが、継承者の高齢化が進んでいる。本研究では、研究代表者が主体となり研究分担者の協力の下でフィールドワークを行い、パラオの日本語歌謡の収集を行い、研究代表者による民族音楽学的な観点からの音楽面およびその文化的脈絡に関する分析、研究分担者による言語学的な観点からの歌詞分析を共同調査研究によって総合的に分析する。これにより、パラオの日本語歌謡成立から伝承にいたるまでの経緯とその音楽的・言語的特徴を総合的に明らかにすることを目的とする。 本年度においては、平成24年度に引き続いてパラオの日本語歌謡の歌詞、翻訳(パラオ語から日本語および英語)、音楽データの整理、採譜を行うとともに、パラオにおけるフィールド調査によって補足資料収集を行った。さらに、現地研究者と情報交換しつつ代表的な日本語歌謡を選定し、その新たなレコーディング作業を進めた。 以上の資料やデータ等をもとに、パラオの日本語歌謡のメロディについて楽曲分析によって音楽的特徴を明らかにするとともに、その文化的・社会的特徴を抽出した。また、言語学的観点から日本語歌謡の歌詞について、単語の種類、使用頻度、単語相互間の連関性、文法的・文脈的特徴を明らかにした。そして、これらの成果について、学会での口頭発表を行い、研究者からコメントを得るとともに論文としてまとめて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば、今年度内で研究成果を報告書としてとりまとめる予定であったが、現地研究者との情報交換の中で、報告書に音源を付帯することでよりわかりやすく有意義な成果品となるとの指摘を受け、同時に音源提供の協力を申し出を受けた。これにしたがって、現地でレコーディング作業を始めたところ、2013年11月にパラオが台風30号Haiyanによる甚大な被害を受け、施設や機材を確保できなくなる事態となった。そのため、とりまとめの作業全体にやや遅れをきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
成果品の納品が年度内に終わることが見込めないと2014年2月の時点で判断し、期間延長申請を願い出て受理された。一方、現地ではその後復旧が進み、レコーディング作業が再開した。来年度にはすべてのデータが出そろい、持ち越した未使用額によって成果の取りまとめを行うことが見込まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、成果品作成の経費として確保しているものである。調査対象地パラオが2013年11月に発生した台風30号Haiyanの甚大な被害を受け、成果品に付帯する現地収録音源の作成に必要な現地施設や機材を確保できなくなり、作業全体が滞ったことから次年度使用額が生じた。なお、現地はその後、復興してきている。 パラオ日本語歌謡歌詞集印刷・製本(150,000円)、付帯CD・ラベル作成(150,000円)、デザイン料(100,000円)、データ処理アルバイト(23,828円)
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Research Products
(12 results)