2013 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ音楽療法を核とした新しいコンサート・モデルの研究
Project/Area Number |
23520174
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 博子 熊本大学, 文学部, 准教授 (00136699)
|
Keywords | 音楽療法 / コンサート / 高齢者福祉 / コミュニティ |
Research Abstract |
最終年度にあたる25年度においては、コミュニティ音楽療法の実践場所として、熊本市子飼商店街と阿蘇市仮設住宅を設定し、高齢者の健康増進と地域交流を促進しつつ、この2地点を結ぶ架け橋としての機能を持たせたコンサートを熊本市において2回開催した。通算7年にわたるコミュニティ音楽療法の実践により、熊本市子飼商店街の参加高齢者たちは発声ならびに音楽的表現性の上で大きな進歩をみせ、24年度後半に行った阿蘇市の豪雨災害復興支援コンサートでの真摯な演奏は大きな反響を呼んだ。25年度のコンサートは、引き続いて復興支援をテーマとして企画されたが、参加高齢者の音楽に対する姿勢が、単に自己の健康増進という個人的なレベルから,他者と地域への貢献という社会的なレベルへと広がりを見せたことは特筆すべきことであった。こうした形での社会への参画は高齢者にとっては入りやすく、また自尊感情を高めることから、QOLの向上に有効であると思われる。音楽療法士が媒介役となって、阿蘇市仮設住宅の高齢者たちにコンサートの様子や聴衆たちの寄せ書きを届けたが、それは災害の風化を憂える阿蘇の高齢者たちの大きな力になっている。移動に困難を抱える高齢者たちの気持ちを結ぶ架け橋としての機能をコンサートは果たしたといえよう。またコンサートに参加したプロの演奏家にも、療法的な音楽活動への関心が高まり、高齢者施設や福祉施設へのアウトリーチ活動が開始されたことも注目に値する。音楽による地域振興は時間がかかるが、継続していくことによって様々な展望が拓けていくことが示唆されたことは本研究の重要な成果であろう。これらの取り組みは研究代表者によって毎年国内外の学会で発表されてきたが、特に2013年のヨーロッパ音楽療法学会並びに2014年の世界音楽療法会議での発表は本研究の総括となるものである。
|
Research Products
(5 results)