2013 Fiscal Year Research-status Report
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23520192
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Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
楢崎 洋子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (50254264)
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Keywords | ジャンル認識 / 声楽作品 / 器楽作品 / 合唱作品 / オペラ |
Research Abstract |
個々の日本の作曲家の器楽作品と声楽作品の影響関係および互換的な関係の考察をもとに、日本の作曲史の通史的記述を試みることを本研究の最終目的としていたため、日本の作曲家の作品の出版楽譜および未出版楽譜で入手可能な楽譜および当該作品の演奏を録音したCD等の音盤資料を収集するとともに、当該作曲家とその作品を対象とする自作解説および評論家等による批評、論考を収集し、言説資料を指針として器楽作品と声楽作品の関係の考察を始めたが、通史記述を行えるほどの対象数に有効な分析方法を割り出すことが難しく、むしろ個々の作曲家を対象にその作曲様式にとって適切な分析方法で考察することが、通史記述にとっても有効な成果が得られるであろうと判断した。平成25年度には、その作品に関する執筆機会を得た作曲家を対象に考察したところ、声楽作品と器楽作品の互換的な関係というテーマ設定が必ずしも有効でない例も見られ、その背景には、声楽作品と器楽作品に対する日本特有のジャンル認識があることも想定される。 平成25年度に執筆機会を得ていた作曲家の一人の三善晃が逝去したため、その作品の一部を対象とする論考を著すことは見送り、今後は、三善の全作品をまず特定し、それらの作品を対象に、三善の作品と同定できる手法的特徴を指摘するとともに、交響曲、ソナタ、歌曲、オペラ、合唱曲、等のジャンルに関する語を三善はどう認識していたのかについて三善の言説からも検討する。西洋音楽のジャンル名称と必ずしも一義的な関係にはないかもしれない日本の西洋音楽に特有のジャンル認識とその名称を検討することも視野に入れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「作曲家個別の作品研究」の成果を通して「日本の作曲史の通史記述を行う」ことを目的としたが、両者のバランスをとって成果を導くには長期間にわたる研究計画をたてることが必要で、3年程度の短期間では無理があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成18~19年度科研費による研究課題「三善晃の作曲様式――器楽作品と声楽作品の相互流入による様式形成とその意義」における対象作曲家で平成25年に逝去した三善晃を再び対象とし、その全作品の目録を作成するとともに、作曲を始めた初期にオペラを構想してオペラとしては未完のままに終わったのは、その後、継続的に書き続けられた独唱曲、合唱曲が、三善のオペラ構想を実践するのに適したジャンルであったことがその要因であると想定して、独唱曲、合唱曲の名称で呼ばれる三善の声楽作品に、西洋のオペラとは異なる複合的な曲種であることを指摘すべく、分析、考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「研究実績の概要」において述べたように、考察対象の作曲家の一人であった三善晃が平成25年に逝去したため、その一部の作品を対象に論考を著すことは見送り、その全作品を特定して作品表を作成し、全作品を視野に入れて、その器楽作品と声楽作品の関係を考察することとしたが、平成25年度の後半は、申請者の怪我(腰の骨折)のために実践できる研究作業が限られたため、次年度使用額が生じた。 考察対象作曲家の三善晃の逝去後は、三善に関わる諸資料が遺族側から整理されて、閲覧に供するよう手続きがなされることが想定される。三善を対象とした平成18~19年度科研費の研究課題「三善晃の作曲様式――器楽作品と声楽作品の相互流入による様式形成とその意義」では三善に関する資料の所在を調査しなかった放送局、三善の作品を演奏した演奏家、および現段階ではほとんど知られていないパリ音楽院に留学中の三善に関わる情報も調査対象としたく、それらの新たな資料、情報を調査する費用に次年度使用額を使用したい。
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Research Products
(2 results)