2013 Fiscal Year Annual Research Report
演劇的知見を活かした実践型生涯活動のモデルプログラム策定に関する基礎研究
Project/Area Number |
23520196
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
椋平 淳 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00319576)
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Keywords | 生涯活動 / 演劇 / アウトリーチ / 住民参加 |
Research Abstract |
平成25年度は、全国各地で開催されている市民参加型演劇公演の運営について、引き続き実態調査を行った。とくに、過去2年間の調査で顕著な成果が目立った3つの劇場について集中的に視察し、考慮点や有効策について掘り下げた。また、過年度分も含めて入手資料の分析をさらに推進し、研究成果を学会で発表した。 まず6月に、札幌市琴似の生活支援型文化施設コンカリーニョで実施されている「温故知新音楽劇」を視察した。平成23年度も視察したこの事業では、何年も連続で参加している市民の意識など、追跡調査で浮かび上がる様々な特徴を明らかにした。 次に、可児市文化創造センターの「大型市民劇事業」を10月から約半年にわたって密着調査した。この劇場は、演劇・ミュージカル・ダンスの3つの参加型事業を3年周期で展開している。これにより、連続参加者にくわえ、各ジャンルに興味を持つ人々がその都度参加している。また、遠距離の参加もあり、中部地域の文化拠点としての位置づけ強化につながっている。 さらに、住民参加劇の成功例として注目される士別市あさひサンライズホールの参加型市民劇製作事業「芝居で遊びましょ」を、前年度に引き続いて平成26年3月に視察した。前回の10周年記念事業を経た今回の事業では、若手の演出家を新たに招聘するなど、人脈を広げて恒常的な地域活動として定着するための取り組みがなされ、関係者のインタビューなど様々な資料が収集できた。 研究発表としては、11月に日本演劇学会近現代演劇研究会において、「住民参加劇と‘公共性’―京都・琴似・士別―」という題目で演劇による生涯活動サービスという観点から論じた。また、報告者が実行委員長を務める「第35回Kyoto演劇フェスティバル」(主催:京都府)において、各世代が縦断的に一堂に会する生涯活動事業「演劇クロス世代」を新プログラムとして設置し、地域文化高揚の仕掛けとして効果的な取り組みとなった。
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