2011 Fiscal Year Research-status Report
環瀬戸内海における民間神楽の表象物に関する民族芸術学的比較研究
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23520198
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
三村 泰臣 広島工業大学, 環境学部, 教授 (60289262)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 石 / 神殿 / 白い布 / 瀬戸内 / 天蓋 / 人形 / 表象物 / 民間神楽 |
Research Abstract |
民間人が暮らしの中で表象してきた芸術の一つに「民間祭祀」がある。日本ではこの民間祭祀の中核に「民間神楽」が位置づけられている。本研究は中国大陸や朝鮮半島との交流の歴史的重要航路であった環瀬戸内海における民間神楽の表象物(神殿と呼ぶ祭場/柱/天蓋/白い布/等)の使用分布・使用方法・使用目的を当地域で悉皆フィールド調査/比較分析した上で、東アジア(中国長江中流域/朝鮮半島)の民間祭祀の表象物とも比較考察して、環瀬戸内海の民間神楽の成立と展開およびその意義を実証解明する。本研究を基礎に日本民間神楽の再定義を行う。 平成23年度は環瀬戸内海地域に伝承する民間神楽を中心に以下の実地調査をおこなった。4/10中庄神楽(尾道市)、5/14尾道薪能(同)、8/8百島弓神事(同)、8/10~12鳴門阿波おどりと人形浄瑠璃(鳴門市)、8/5島田人形浄瑠璃(光市)、8/7安田糸あやつり人形(周南市)、8/28原神楽(廿日市市)、10/9山代白羽神楽(岩国市)、10/14金丸八幡神社神楽(徳島県みよし町)、10/22湯立神楽(香川県丸亀市)、11/13三作神楽(周南市)、1/15益田糸操り人形(島根県益田市)、2/5芸予諸島のとんど行事(尾道市)、3/11藤縄神楽(愛媛県大洲市)、3/13鎮縄神楽(同)、3/24能地春祭り(三原市)、3/25津口荒神祭(世羅町)。 これらの調査で各表象物が民間神楽だけでなく、民間祭祀や諸芸能のなかにも組み込まれていることを確認できた。また前回研究成果と本研究がNHK番組「神楽烈々」(5/6)、「ふるさと発」(3/16)、「新日本風土記」(3/31)で取り上げられ出演した。本研究の成果の一部は、日本都市計画学会(7/23)、日本民俗学会(10/2)、電気学会(3/22)等で講演・報告した。また広島県、広島市をはじめ広島県内の市町で8回の講演・報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査(環瀬戸内海)については、中国地方(山口県/広島県)と四国地方(香川県/愛媛県)は、上述の報告(研究実績の概要)で示した通り順調に進展し70%程度達成できた。その成果の一部は広島県内の市町で8回の講演・報告した。 九州地方(大分県)の調査(湯立を中心に)は前年度実施できなかった。これは調査日が秋季に集中し、中国地方と四国地方の式年祭祀の調査日と重複したためである。次年度以降、九州地方の調査を継続実施していくこととしたい。また海外調査については、環瀬戸内海の表象物と比較できる民間祭祀を調査する計画をたて、本年度はブータンの仏教儀礼調査を準備・計画したが、出発直前に状況が整わず実施できなかった。また韓国・済州島の民間祭祀の調査は、大学業務と調整がつかなかったため実施できなかった。次年度以降に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.環瀬戸内海の民間祭祀(民間神楽を主に)の現地調査を継続し共通する表象物を確認していく。前年度実施が十分にできなかった九州地方(大分県)の湯立神楽の調査を重視することとする。また四国地方(香川県/愛媛県)の調査も継続的に実施する。2.ブータンの仏教儀礼の調査。本年度事情で実施できなかったので、次年度夏季休暇中に実施する予定。3.韓国・済州島の民間祭祀調査。次年度春季休暇中に実施予定。4.学会等での論文/研究発表。日本宗教学会で「環瀬戸内海域の神楽の湯立」について研究発表を行う。また各団体の招待講演で成果報告を行う。5.環瀬戸内海の神楽祭祀の全体について、著書『中国・四国地方の神楽探訪』(仮題)を次年度中に出版する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.物品費(機器/備品)150,000円:電子機器、撮影機材等の購入2.旅費:400,000円。(1)環瀬戸内海のフィールド調査のため(150,000円)、(2)学会/研究会/資料収集のため(50,000円)、(3)海外調査のため(済州島200,000円)+(ブータン500,000円:前年分繰り越し分)3.人件費・謝金100,000円4.その他150,000円
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Research Products
(8 results)