2013 Fiscal Year Annual Research Report
環瀬戸内海における民間神楽の表象物に関する民族芸術学的比較研究
Project/Area Number |
23520198
|
Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
三村 泰臣 広島工業大学, 環境学部, 教授 (60289262)
|
Keywords | 神楽 / 神殿 / 鬼神舞 / 白い布 / 天蓋 / 湯立 |
Research Abstract |
民間人が暮らしの中で表象してきた芸術の一つに「民間祭祀」がある。日本ではこの民間祭祀の中核に「民間神楽」が位置づけられている。本研究は中国大陸や朝鮮半島との交流の歴史的重要航路であった環瀬戸内海における民間神楽の表象物(神殿と呼ぶ祭場/柱/天蓋/白い布/湯立/鬼神舞等)の使用分布・使用方法・使用目的を当地域で悉皆フィールド調査/比較分析した上で、東アジア(中国長江中流域/朝鮮半島)の民間祭祀の表象物とも比較考察して、環瀬戸内海に民間神楽の成立と展開およびその意義を実証解明する。本研究を基礎に日本民間神楽の再定義をおこなう。 平成25年度は環瀬戸内海地域に伝承する民間神楽を中心に以下の実地調査をおこなった。4/1岩国行波の神舞(岩国市)、4/14清原神事(豊前市)、5/26吉備津神社(福山市)、8/5島田人形浄瑠璃(光市)、8/15木間神楽(萩市)、9/23御嶽神楽(豊後大野市)、10/15西条祭り(西条市)、10/27湯立神楽(豊前市)、11/3津野山神楽(梼原町)、12/1円座餅つき(築上町)、3/9雲南神楽(雲南市)。 平成23年度から25年度までの環瀬戸内海の民間神楽の実地調査と、それ以前の中国長江中流域等の民間祭祀調査から、各表象物が民間神楽だけでなく、民間祭祀や諸芸能のなかにも組みこまれていることを確認した。環瀬戸内海と中国長江中流域および朝鮮半島の表象物は死霊祭祀という中で共通性が確認できた。ただ異なるのは、環瀬戸内海では湯立と鬼神舞が発達していた(長江中流域や朝鮮半島では確認できなかった)。これらから、神楽は東アジアに普遍的な芸能であり、日本神楽の固有性は湯立と鬼神舞にあるといえる。本研究の成果の一部は、4/28民族藝術学会、9/8日本宗教学会、等で講演・発表した。また広島県内の市町でも講演・報告した。
|
Research Products
(8 results)