2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520201
|
Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
関口 洋美 大分県立芸術文化短期大学, 情報コミュニケーション学科, 准教授 (70435379)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 鑑賞 / 感性評価 / オノマトペ |
Research Abstract |
平成23年度に計画していた「芸術鑑賞における感性評価質問紙」に用いるオノマトペの選出を行った。計画の通り、予備調査によるオノマトペの収集と、辞典などからの情報をもとにしたオノマトペの収集を行い、連携研究者とともに鑑賞に関する因子を想定しながら61語のオノマトペを選出した。 この61語のオノマトペをもとに、感性評価質問紙案を作成し、芸術作品の鑑賞のあと、どのくらいそのオノマトペを感じたかを評定してもらいデータを集めた。データ数は述べ426名分となった。なお、鑑賞してもらう作品は中学校の鑑賞授業に用いられると考えられる絵画作品(ダ・ヴィンチのモナ・リザ、ゴッホの糸杉のある風景、クリムトの接吻、ピカソのゲルニカ、写楽の三世大谷鬼次の奴江戸兵衛)と、音楽作品(シューベルトの魔王、ベートーベンの運命、ヴィバルディの春、スメタナのモルダウ)を用いた。 さらに、鑑賞授業に対する現職教員の印象を明らかにするため、PAC分析を行った。PAC分析は、ある対象に対する印象を、自由連想、自由連想により出てきたことに対する類似度評定、類似度評定の結果をもとにしたクラスター分析、クラスター分析の結果を見ながらのインタビューによってなる分析である。中学校美術教師1名、中学校音楽教師1名に協力を得た。それぞれの教科における鑑賞授業の難しさや、言語化させることに関する困難さなどが明らかになった。また、PAC分析のあとには、今後の本研究に反映させるよう、鑑賞授業に関する現状なども聞かせてもらった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の中で大きなウェイトをしめる「芸術鑑賞における感性評価質問紙」の作成において、特にオノマトペの選出に関して早い段階で達成できた。また、質問紙の作成もスムーズに進み、平成23年度後半から、オノマトペの絞り込みのための大規模調査に着手できた。早い段階でデータ収集に着手できたため、400名以上のデータが集められた。 また、感性評価質問紙完成後に行う授業での有用性の検証に先立ち、現職教員から鑑賞授業に対する印象について調査・分析したことから、感性評価質問紙の最終的な形式などを形作ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、「芸術鑑賞における感性評価質問紙」を完成させる。因子分析および信頼性の検定などにより、現在61語あるオノマトペを20語前後に絞り込み、授業で使用しやすい形式にしたうえで完成させる。ただし、オノマトペはその曖昧さが特徴のため、皆が同じように感じ取っているか不明なことが多い。そこで、選出されたオノマトペについて、それぞれのニュアンスが一様に感じられているか、追調査を行う。追調査についてはオノマトペ研究に詳しい教授よりアドバイスをいただくと同時に、現職の中学校教諭などに意見を聞く。 感性評価質問紙が完成したのち、中学校の美術および音楽において、本質問紙を用いた鑑賞の授業を行ってもらい、その効果を検証する。効果の検証のために、できるだけ感性評価質問紙を私用していない鑑賞授業についての資料を集めるため、観察もしくはインタビューを行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に使用する予定であった研究費において、購入を予定していた機器が海外での洪水被害により入荷できなくなり、物品費が使用できなかった。また、データ入力の依頼に使用する予定であった人件費・謝金において、データ入力の多くを当該研究者が行ったため、使用額が少なくなった。また、郵送費などに予定していたその他においても、書類などは当該研究者が打ち合わせなどの際に自身で届けるなどしたため、使用額が少なくなった。 平成24年度は、前年度に購入できなかった機器の購入、鑑賞授業の記録のための器材の購入などを中心に物品費を使用する。また、旅費については、授業に関しての打ち合わせなどのため、予定額よりも多く使用することが考えられる。人件費・謝金については、授業担当者に対する謝金のほか、授業の記録のため連携研究者以外の協力者に対し謝金を使用する予定である。授業記録用の機材は、実施校に郵送するためこれらの郵送費はその他から使用する。
|
Research Products
(4 results)