2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520201
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
関口 洋美 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (70435379)
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Keywords | 鑑賞 / オノマトペ / 感性評価 |
Research Abstract |
「オノマトペを活用した感性評価用紙を完成」 平成23年度に実施した予備調査および連携研究者との協議で選出したオノマトペに対し、様々な芸術作品の鑑賞をもとにどのくらい感じたかを評価してもらう調査を行った。調査には、本研究者が所属する短期大学の在学生だけでなく、実際に教材として使用してもらう中学生にも協力をしてもらった。その結果を因子分析し、感性評価用紙に適切と思われるオノマトペ21語を抽出した。それらは、7因子からなり、にぎやか因子(ごちゃごちゃ、ぐちゃぐちゃ、がやがや)、スリル因子(どきどき、はらはら、ぞくっ)、明るさ因子(わくわく、きらきら、ぴかぴか)、すごさ因子(ずどーん、どーん、どっしり)、いらだち因子(いらいら、かりかり、むかむか)、やわらかさ因子(ふわふわ、ふわり、ふんわり)、しずけさ因子(しんみり、しーん、もやもや)である。本研究の要となる感性評価用紙を完成させる準備を整えた。 「感性評価用紙を用いた美術の鑑賞授業の実施」 上記のオノマトペを用いた鑑賞授業用シートを、中学校美術教諭と協力して作成した。オノマトペには、感じた(2点)・どちらでもない(1点)・感じない(0点)のいずれかで回答してもらい、各因子ごとに3項目の得点を合計し因子得点とし、折れ線グラフのような形で示してもらう形式である。これらをモンドリアンの「赤い木」「赤・黄・青のコンポジション」の作品それぞれに対して用いて、シートを題材にグループディスカッションしてもらった。その結果、子どもたちはグラフを重ね合わせるなどして、活発にディスカッションをしてくれた。 また、後日、それぞれの作品に対する鑑賞文を書いてもらい、同時にオノマトペシートを使った感想をたずねた。その結果、オノマトペシートによって、いつもよりも感想が書きやすかったと回答してくれた子どもたちが複数見られ、本研究の目的に沿った結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画として、「オノマトペを活用した感性評価用紙」を完成させることがあった。この目標は、10月までに達成し、この内容をもとに、鑑賞授業に用いる鑑賞シートの作成まで終えることができた。 また、前出の鑑賞シートを実際の授業に用いて、シートの効果を検証することができた。多くの準備を中学校が夏休みの間に、授業担当教員と連絡を取りながら進めた。その結果、21項目のオノマトペが形成する7つの因子の命名や、シートの形式などを10月中にまとめることができた。また、実際の授業の前に、オノマトペシートを体験してもらったことにより、実際の授業において、子どもたちがスムーズに感性評価を行うことができた。また、授業を研究授業に位置づけ、小学校の教諭からも鑑賞シートへの意見などをきけたため、平成25年度における授業での検証に関する新たな視点や目標を見出すことができた。 これらの結果は、当初の計画の通りであるため、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初の計画の通り、引き続き中学校の美術の授業において「オノマトペを活用した感性評価シート」を用いた鑑賞授業の検証を行う。平成24年度に行った授業における検証では、生徒の主観的な感想によって、オノマトペの鑑賞シートの効果をたずねた。その結果において、一定の効果があると確認できたが、本年度はより客観的な形で検証していきたい。計画としては、感性評価シートを用いたことにより、鑑賞文が書きやすくなったかを、シートを用いない時と用いた時の鑑賞文の量的な差や質的な差について調査し、明らかにしていく。具体的には、鑑賞文記入欄に升目を用いて文字数を算出し比較する方法や、鑑賞文に用いられた言葉の種類などを比較する方法が考えられる。 なお、音楽の鑑賞についてはまだ行っていないため、本年度調査をする予定である。ただし、中学校において実施してもらうには準備が間に合わないことが考えられるため、本研究者が所属する短期大学の学生を対象に、中学校における美術の鑑賞と同様の検証を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度までは、質問紙データの解析とインタビューデータによる意見聴取が主たる分析であった。しかし、本年度実施の授業では、授業の様子や教員の発言、子どもたちのグループディスカッションの様子なども分析に含めたいと考えている。そこで、物品費からテレビおよびDVDを購入する予定である。また、子どもたちの鑑賞文データの分析を行うために、言語データ解析用ソフトの購入も予定している。これらの一連の授業実施、言語データの入力やビデオ観察などに対する人件費と謝金も支出する予定である。 また、授業実施の前の打ち合わせおよび授業日における観察などに対し、大分ー成田間の旅費を使用する。旅費に関しては、最終年度に当たることから本研究をまとめて論文を執筆するに際し、助言・アドバイスなどをいただくため、大分ー金沢間の旅費も使用する予定である。
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Research Products
(5 results)