2011 Fiscal Year Research-status Report
大正期函館圏モダニズム文化の研究―長谷川海太郎・久生十蘭・水谷準を中心に―
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23520206
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
小林 真二 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50292488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 函館 / モダニズム / 大正期 / 長谷川海太郎 / 久生十蘭 / 水谷準 |
Research Abstract |
主として大正後期の「函館新聞」、「函館日日新聞」、「函館毎日新聞」を中心に、函館市中央図書館所蔵資料を活用して長谷川海太郎、久生十蘭、水谷準および函館圏モダニズム文化をめぐる状況の調査を実施し、結果的に彼ら三人に関する貴重な新資料を多数発見することができた。 そのうち久生十蘭に関する発見は、1、「カシノ・マンドリニ・クヰンテッドに就て」(『函館毎日新聞』大11・4・29)、2、「マンドリン・ギタア(教授広告)」(『函館新聞』大11・5・2)、3、「九郎兵衛の最後」(『生』第2巻第2号、大15・9)、4、「恐ろしい時代」(同)、5、「駆逐艦便乗の記」(『函館新聞』大13・5・28)、6、「師走の巷 矢張り悟り切れぬ 首なしの小官吏 どうでもなれと覚悟はきめたが」(『函館新聞』大13・12・17)、7、「異境で迎える降誕祭の憂ひ 露歴クリスマスに万世ホテルの会合」(『函館新聞』大14・1・9)、8、「町内自慢(三四)元町 単調な山麓に一異彩を放つてゐる ハリストスの聖堂 始めて出来たのは安政六年」(『函館新聞』大15・1・12)などがあった。 これらに基づき、1.キャンパスコンソーシアム函館合同公開講座「函館学2011」における講演「函館時代の久生十蘭―新資料紹介を中心に」(2011年10月1日、於:北海道教育大学函館校)を実施すると共に、全てを2.『定本 久生十蘭全集10』(2011・12、国書刊行会)に資料提供し収録されることによって、広く社会に還元することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キャンパスコンソーシアム函館合同公開講座「函館学2011」における講演および『定本久生十蘭全集10』への資料提供にあわせるために、計画とは異なる順序で研究を進める必要が生じてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本人の全著作や関係者による発言、先行研究などを購入・複写により収集し、彼らの函館時代に関する既存情報を整理し、以後の調査のための手がかりを得る。その際、必要に応じてさらに関係発言・先行研究などの収集を行う。 遺族、関係者、出身校や役所などに取材し、彼らの函館時代の基本的な履歴に関する事実関係を明らかにし、以後の調査のための手がかりを得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、3人の家庭環境や生家の職業、居住地や学校をめぐる状況などについて、ご遺族や関係者の元に出向いて取材調査を行う。2、3人の執筆した全文章を調査するために、ミステリー文学資料館、日本近代文学館、国会図書館などに出張して調査を行う。3、購入を予定していた復刻雑誌が一部絶版になってしまったため、その分を大正期函館発行紙誌の購入・複製作成に当て、函館の文化状況の精査に力を注ぐこととする。 ※3に記した通り、購入を予定していた復刻雑誌が一部絶版になってしまったため、前年度に予定していた形では執行できなかった研究費が残っており、それを全て本年度に執行する予定である。
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