2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60252409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本出版制度史 / 大阪出版制度史 / 本屋仲間記録 |
Research Abstract |
『大坂本屋仲間記録』(大阪府立中之島図書館・清文堂発行)の通読、内容把握、内容整理作業を開始した。交付申請書にも記した通り、資料の出版紹介が行われるばかりで、それら全般が含む情報に関する包括的総合的整理が欠落し、認識の確立作業が行われていないことが、江戸時代出版制度の歴史的役割を未確認の状態のままにしているのが、日本近世文学研究・日本近世史研究・日本出版史研究の現状と言わざるを得ない。本研究はその整理、その確立を目途とするが、本年度の作業に要する時間から見て、整理作業には本課題研究期間のほとんどを要するであろう。また、大阪府立中之島図書館所蔵江戸時代大阪本屋仲間記録中、近世出版業の制度について伝える最重要文書である『鑑定録』及び『差定帳』の、出張による原本確認作業を開始した。今年度は『大坂本屋仲間記録』所収『鑑定録』翻刻の誤植箇所を確認し、『差定帳』の原本にある墨筆による本文訂正の状態を確認し、それが生じた原因の考察のための資料収集を行った。原本の複写を依頼したが、所蔵機関所蔵マイクロフィルムの劣化が判明、所蔵機関による次年度の再撮影を俟って再発注をかけるということになった。また、大阪商業大学商業史博物館所蔵の大阪町奉行所与力文書の出張閲覧作業を開始し、江戸時代大阪出版手続きを管掌した大阪町奉行所内部の制度把握作業を開始した。その他、広く江戸時代幕府制度に関する資料の収集作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記した目的に向かって4年の研究期間のうちの初年度として、出張による史料閲覧を含め、行うべき作業にはすべて着手し、実質1年足らずの期間で可能な作業は行い、次年度への継続進展が見込まれる状態にはした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にひきつづき、『大坂本屋仲間記録』の通読、内容把握、内容整理につとめ、可能なかぎり文書単位での内容整理報告の文書化公表につとめる。ひきつづき原史料の閲覧確認につとめる。ひきつづき江戸時代幕府制度・大阪町奉行所制度に関する史料の収集、制度の把握につとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた最も大きな原因は、大規模な江戸幕府法制史料のマイクロフィルムからの複写を依頼した機関の複写機器が壊れたために発注した史料の複写が半分以下しか完了しなかったことにある。これについては次年度、発注先を変更する等し、複写を完了する予定である。
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