2013 Fiscal Year Research-status Report
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23520225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60252409)
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Keywords | 日本出版制度史 / 大阪出版制度史 / 本屋仲間記録 |
Research Abstract |
『大坂本屋仲間記録』(大阪府立中之島図書館・清文堂発行)の通読、内容把握、内容整理作業を続行した。交付申請書にも記した通り、資料の出版紹介が行われるばかりで、それら全般が含む情報に関する包括的総合的整理が欠落し、認識の確立作業が行われていないことが、江戸時代出版制度の歴史的役割を未確認の状態のままにしているのが、日本近世文学研究・日本近世史研究・日本出版史研究の現状だと認識している。 本研究はその整理、その確立を目途とするが、3年間の研究作業の進行過程、進行状況から見て、資料の内容整理作業に本課題研究期間のほとんどを要する見込みである。 とにもかくにも大阪本屋仲間の最主幹史料である、行司の執務要目箇条メモ書き『出勤帳』の記載が簡略かつルーティーン・ワークのメモ書きにほとんど埋め尽くされているため当初予定していた史料ごとの解題執筆を後回しにし、最終年度を来年度にひかえた本年度は方針転換をはかって、大阪本屋仲間のルール的前例記録『差定帳』から得られる認識のエッセンスを書き出して行くことを優先することにした。 また、その成果となる論文執筆作業を優先することとし、まずは、ほとんど手持ちの資料のみで執筆が可能な本屋仲間が写本の流通統制にもたずさわっていたことを論文化し、投稿を開始した(山本秀樹「江戸幕府の特定写本禁止法とその思想(上)――幕府出版規制が実は書物規制であること――」『岡山大学文学部紀要』第61号)。 前年度から仕残しの大阪府立中之島図書館所蔵江戸時代大阪本屋仲間記録中、近世出版業の制度について伝える最重要文書である『鑑定録』及び『差定帳』の複写は最終年度である来年度に論文の執筆と合わせて行うことにした。 その他、広く江戸時代出版制度に関わる資料の収集作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料の記述内容の散漫さに災いされて、江戸時代大阪の出版制度史を記述するという目的は、包括的にはきわめて達成困難な状況にあるが、ともかくも『大坂本屋仲間記録』という史料から抽出できる江戸時代大阪の出版制度史の要点を書き出すという作業には着手し、来年度の最終年度に向け、成果の産出には目途を立て、作業を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき『大坂本屋仲間記録』の通読、内容把握、内容整理につとめ、可能なかぎり多くの江戸時代大阪の出版制度史の要点に関する論文化を行い、最終年度の報告書を能うかぎり豊富な内容とする。 論文化に際して必要な史・資料の複写収集につとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
書籍の納入価格が予定額と異なることによって差額が生じるが、その額が判明するのが図書館で手続が終了したあとになる事務処理の時間差によって使用しきれなかった端数である。 わずか279円であるが、次年度は研究課題最終年度であるから、資料整理ファイル等に有効に活用し、最終的に0円に合わせる予定である。
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