2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60252409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本近世文学 / 日本近世史 / 出版史 / 日本法制史 / 本屋仲間 |
Outline of Annual Research Achievements |
「江戸幕府の特定写本禁止法とその思想」(上)(下)(『岡山大学文学部紀要』第61号・第62号)および「大阪本屋仲間の歴史」の連載を開始、その(一)(二)を発表した(『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』第38号、第39号)。 前者は研究課題である「日本近世出版制度史」の前提となる江戸幕府の出版法の構造を解明したもので、江戸時代出版法町触の親規定として高札に掲げられた書物取扱法規の一条があり、出版法町触が写本にも融通適用されることを指摘し、江戸時代出版法はそのまますなわち江戸時代書物法であったことを解明した。このことについて、従来理解が及んだことはない。 後者は、従来、きちんと通史的検討を経たことのない大阪本屋仲間記録に研究的分析作業をほどこした上でそれを全面的に用いて、大阪本屋仲間の歴史を描こうとしたものである。連載二回分では、まだその初発時について語り始めたばかりと言ってよい元禄期の分析記述にしかなっていないが、今後も連載を継続することを予定している。 また、後者執筆の過程において、必要に追われ関係史料を点検していた際に、研究課題初年度以来の懸案であった大阪本屋仲間記録『差定帳』冒頭部に存する添削書入れは、いつ、誰が、何のために行ったものか、そして、われわれはその添削前の規定を用いるべきなのか、添削後の規定を用いるべきなのかについて解答を導き出すための手がかりを得、解答を得ることができた。これについても可及的速やかに稿を成し、その正否につき学界に問う心づもりである。 また、先年、拙著『江戸時代三都出版法大概』において、江戸時代前期の江戸における出版時不安内容に関する板木屋の町奉行所照会制については明らかにしたところであったが、さらにそれが本屋の出版届出制に近いものにまで拡張実施されていたとおぼしき手がかりを得た。これについても可及的速やかに公表し学会に問うであろう。
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Research Products
(4 results)