2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520261
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 三津子 大阪工業大学, 知的財産学部, 教授 (50201984)
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Keywords | 宴曲 / 道行文 / 能楽 / 軍記物語 / 用字 |
Research Abstract |
本研究では、宴曲詞章の文学史的考察を基点とし、それが軍記物語・謡曲など他のジャンルに与えた影響を丹念に辿ることによって、中世における道行文の形成と展開にかかる総合的考察を行った。具体的な成果と課題を以下に示す。 第一に宴曲譜本の悉皆調査を目指し、室町期の譜本を中心とした文献調査を行った。譜本調査の過程で、2013年8月、国立国会図書館蔵『外物』と北海道大学附属図書館蔵『拾菓集』上巻に岩井直恒と署名した人物が、江戸時代に京都で活躍した能役者と同一人物であることを突き止め論考2編を執筆しした(1「岩井直恒の宴曲『拾菓集』書写」『大阪工業大学研究紀要』人文社会編、第58巻2号、2014年2月。2「岩井直恒と宴曲」『能ー京都観世会会報誌』2014年3月)。外村久江による伝本調査および伝本研究から半世紀が経過した現在、所蔵者の確認・新出伝本の紹介・位置づけも含めた伝本論の再構築が課題である。 第二に、書誌調査と平行して、宴曲詞章の文学史的影響について検討を加えた。その成果として論考2編を執筆した(1「面白の海道下やー宴曲〈海道〉の継承と変容―」『中世の芸能と文芸』2012年5月、竹林舎。2「曲舞〈西国下〉に見る琳阿の『平家物語』享受」、『軍記物語の窓 第四集』2012年12月、和泉書院)。 第三に、〈海道〉〈熊野参詣〉〈善光寺修行〉をテーマとして特別研究会を開催し、研究分野にとらわれず宴曲詞章を読み解く場を提供した。 これまでの成果を踏まえ、宴曲に特徴的な用字の訓例索引作成を今後の課題とする。さらに用字の相違に着目した宴曲校訂本文作成を目指す。
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Research Products
(5 results)