2011 Fiscal Year Research-status Report
平安期における文学と美術の相互関係―文献と文献に近似する現存美術作品からの探求―
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23520263
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田島 智子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (80268474)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 物語の美術関連記述 / 歴史物語の美術関連記述 / 日記の美術関連記述 / 随筆の美術関連記述 / 説話の美術関連記述 / 軍記物語の美術関連記述 / 漢詩文の美術関連記述 / 漢文日記の美術関連記述 |
Research Abstract |
研究実績の概要(1)文献の収集整理について…776項目をエクセルでコンピュータ入力を行うことができた。〈文学作品の収集整理〉以下の作品について美術に関する記述を収集してエクセルでコンピュータ入力した。 【作り物語】源氏物語の後半部分・落窪物語・夜の寝覚・とりかへばや物語・浜松中納言物語 【擬古物語】住吉物語・風に紅葉・浅茅が露・海人の刈藻・風につれなき・木幡の時雨・苔の衣・しら露・しのびね 【歴史物語】栄華物語・大鏡・今鏡・増鏡 【日記】紫式部日記・更級日記・讃岐典侍日記・建礼門院右京大夫集・とはずがたり・中世日記紀行集 【評論・歌論】袋草紙・無名草子・歌論集 【随筆】方丈記・徒然草 【説話】日本霊異記・今昔物語集・古事談・宇治拾遺物語・十訓抄・沙石集 【軍記物語】陸奥話記・平治物語・平家物語・曽我物語・義経記・太平記 【漢詩文】懐風藻・田氏家集・菅家文草・本朝文粋・本朝続文粋・本朝無題詩 【その他】仮名草子集〈歴史資料の収集整理〉以下の作品について美術に関する記述を収集してエクセルでコンピュータ入力した。 【漢文日記】九暦・小右記・御堂関白記・後二条師通記・中右記・殿暦 【その他古文書】類聚三代格・平安遺文(2)先行研究の調査収集について…屏風歌の題材となった年中行事のうち、以下について先行する研究を調査し入手した。〈年中行事〉正月宴・大饗・子日の遊び・賭弓などの弓の行事・初午稲荷詣・石清水臨時祭・藤花の宴・大神祭・端午節会・六月祓・駒牽き・十五夜月見・十三夜月見・盂蘭盆会・七夕・重陽の宴・残菊の宴・五節・賀茂臨時祭・仏名・追儺
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)文献の収集整理について〈文学作品の収集整理〉…平成23年度中に、収集およびエクセルでのコンピュータ入力をほぼ終える予定だったが、まだ終えていない。索引だけでは美術関連の該当箇所を探し出すはできず、該当箇所の調査に想定以上の時間がかかったためである。すでにH21~22年度の2年間で、四天王寺大学学内奨励金を利用して収集整理を行っている。すなわち、【歌物語】伊勢物語・大和物語 【作り物語】竹取物語・宇津保物語・落窪物語・源氏物語の前半部分・狭衣物語【日記】土佐日記・蜻蛉日記【随筆】枕草子【説話】古今著聞集、の文学作品について343項目をデータ入力済みである。平成23年度の入力分と合わせると1119項目である。目標の8割程度は達成度できた。〈歴史資料の収集整理〉…平成24年度から着手する予定だったが、文学作品に予想以上に手間取ったため、代わりに平成23年度から前倒しで行った。平安時代の主要な漢文日記『小右記』『御堂関白記』をほぼ終えることができた。目標の2割程度の達成度である。(2)美術作品との照合について…調査の対象とする美術作品について、出版物として入手できるものをリストアップした段階で終わっている。予備調査にまでは至らなかった。各美術館の刊行物や展覧会の図録を調査することに手間取ったためである。(3)年中行事に関する先行研究の調査・収集について…当初の計画に明記していなかったが、調査・収集が大がかりになったため、ここに追記する。屏風歌の題材となった年中行事について、実態を詳細に理解する必要がある。その参考とするため、先行研究を広く調査し入手した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)文献の収集整理について〈文学作品の収集整理〉…文学作品に現れた美術に関する記述を収集し、エクセルでコンピュータ入力する。平成24年度中に入力をほぼ終える。入力したデータは、景物・年中行事などによって分類していく。そのような整理の結果、文学作品が記述する絵画に、どのような傾向・特色があるのかを明らかにすることができると考えている。〈歴史資料の収集整理〉…当時の美術についての実態を知るため、歴史資料に現れた美術に関する記述を収集する。その記述はエクセルでコンピュータ入力する。平成24年度・25年度中に入力をほぼ終える。平成24年度は、平安時代の歴史資料を中心に、全体の7割程度の収集・入力を目指す。(2)美術作品の収集整理について…文学に出てくる題材を描いた場面を、現存する絵画・工芸品から探し出す。その画像をスキャナーで取り込み、整理する。平成24年度は刊行された図書を中心に調査を行う。とくに正倉院御物・絵巻物・源氏絵について調査を進める。(3)美術作品と文学作品との照合について…美術作品の画像を収集しながら、収集整理を終えた文学作品との照合していく。その結果、新たに判明する事実があるものと考えている。(4)先行研究の調査…引き続き、年中行事などの実態を理解する参考にするため、先行研究を調査し入手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)平成23年度分交付額の繰越金について…平成23年度は、交付金のうち274,844円を残す結果となった。その原因はおもに、各美術館の刊行物や展覧会の図録を調査することに手間取り、美術関連の図書購入が予定通り進まなかったことによる。この繰越金は平成24年度に使用する。(2)平成23年度繰越金・平成24年度研究費のおもな使用計画…下記の二点について重点的に使用していく。(1)入力作業に携わる研究協力者への謝礼…平成23年度に引き続き、文学作品・歴史資料の美術に関する記述を、エクセルで入力する。入力すべき該当箇所を文学作品・歴史資料から探し出すのは、研究代表者である。入力作業を行うのは、研究協力者である。研究代表者の指示と監督の下で行う。研究協力者として依頼するのは、研究代表者が所属する日本語日本文化専攻の学生数名である。学生の勉学に支障を来たさないよう、夏休み中に集中的に行う。(2)美術関連の図書の購入…文学作品・歴史資料の美術に関する記述と対応する、現存美術作品を探し出す。そのための調査資料として、美術関連の図書を購入する。画中画のような細かい部分に残されている場合もあるので、美術作品の写真は鮮明でなければならない。そのため多種類の刊行物を調査する必要がある。現在、まだほとんど未購入であるため、平成24年度の購入はかなり大量になる予定である。すでに絶版となっていることが多いため、古書として購入する場合もありうる。
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