2011 Fiscal Year Research-status Report
『琴操』を中心とした中国古琴曲および音楽説話の日本古典文学への影響に関する研究
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23520267
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Research Institution | Seitoku University Junior College |
Principal Investigator |
正道寺 康子 聖徳大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (70320702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 豊二 米子工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (50311064)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 音楽説話 / 古代日本文学 / 古琴曲 / データベース / 国際研究者交流 / 中国 |
Research Abstract |
中国の古琴曲・音楽説話の古代日本文学への影響を明らかにするために、まず『琴操』研究に着手した。『琴操』の本文や異同について調査し、日本大学文理学部図書館所蔵『平津館叢書・蔡ヨウ〔巛+口+巴〕撰・琴操』(「原刻景印・百部叢書集成」嚴一萍選輯・藝文印書館印行)を底本として翻刻した(制作:正道寺康子・原豊二・岡部明日香・笹生美貴子・佐藤信一・西口あや)。『琴操』全文の翻刻は本邦初であり、インターネット上で簡単に見られるようにした( http://www.geocities.co.jp/Berkeley/5649/ )。 今後、『琴操』本文の異同や訓読文、注釈を付す作業をしてゆく中で、『琴操』の全体像が明らかとなり、古代日本文学への影響に関する研究も進展するものと考えられる。 次に、東アジアの音楽説話の研究のため、平成23年8月19日~23日に韓国の国立中央博物館・国立国楽院・国立民俗博物館や古書店等を調査し、資料収集を行った。韓国の楽器や近現代の音楽についての研究はあるものの、音楽説話に関する研究は少ないと言わざるを得ない。資料収集に時間がかかると考え、本研究課題の初年度に、韓国の音楽説話研究に着手した。現在、収集した資料の分析中である。 研究代表者は、『琴操』本文だけでなく、『琴操』をもとにした唐絵(水仙操の伯牙を描いた高士弾琴鏡)が『うつほ物語』に影響を与えていることを、中国の雑誌『文史知識』で指摘した(入稿済・刊行年月未定)。今後は、唐絵の影響を受けた大和絵(屏風絵)にも注目し、音楽に関する絵と古代日本文学との関連を考えてみたい。 平成23年度の研究成果については、平成24年8月11日、中国清華大学にて発表し、中国側の研究者(劉暁峰氏等)と意見交換する予定である(発表:正道寺康子・原豊二・岡部明日香・笹生美貴子)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『琴操』の全文を翻刻しインターネット上で公開できたので、「おおむね順調に進展している」と判断した。翻刻以外にも、文献調査、論文執筆等(論文公開は平成24年度以降)、ほぼ当初の計画通り遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、『琴操』の訓読文や注釈を付す作業に取り組むが、かなりの時間を要すると考えられるため、関東圏に在住の研究代表者・正道寺康子、研究協力者・笹生美貴子・佐藤信一・西口あやは、月に一度、研究会の時間を設け、検討を重ねてゆく予定である。米子在住の研究分担者・原豊二は年に二、三回上京し、検討の機会を持つことになっている。台湾在住の研究協力者・岡部明日香も、年に二回来日の予定である。 平成24年度は、まず中国清華大学で研究発表を行い、次に日本大学でシンポジウムを開催するので、研究代表者・分担者・協力者は綿密に連絡を取り合い、研究成果を公開に向けて準備する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
『琴操』本文のデータの公開を紙媒体ではなくインターネット上で行ったので、印刷費として予定していた393,664円を次年度に繰越すことになった。この繰越金で、中国の雑誌『文史知識』に寄稿した論文(中国語)の日本語版の冊子を作成し、日本の研究機関や研究者に配布する予定である。 次に、中国古代音楽について、平成24年8月10日~14日に北京にて資料収集を行う。8月10日は、中国清華大学にて研究発表を行う(発表:正道寺康子・原豊二・岡部明日香・笹生美貴子)。 さらに、平成25年3月16日に、物語研究会にて、シンポジウム「古代音楽説話の成立とその継承(仮)」(於日本大学)を開催する。王維坤氏(中国西北大学・教授)を招聘し、中国音楽に関する基調講演をしていただくことになっている。コーディネーターは原豊二、正道寺康子および岡部明日香は研究発表、笹生美貴子が討論のコメンテーターを務める。 『琴操』の訓読文・注釈を付す作業のため、関東圏で研究会を毎月実施する。米子在住の研究分担者・原豊二は年二、三回上京し、研究会に参加する。また、台湾在住の研究協力者・岡部明日香も年二回来日し、検討に加わる予定である。
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Research Products
(2 results)