2014 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルの日本語文学史―同人サークルの形成と民族意識の変容
Project/Area Number |
23520273
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
細川 周平 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70183936)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本移民 / ディアスポラ / アルゼンチン / ブラジル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は6月から7月に未調査であったアルゼンチンを訪問し、主に戦後移民の文芸活動についての知見を得た。まずブエノスアイレスの文芸サークル巴茶媽媽(パチャママ)の事実上のリーダーであった増山朗の小説『グワラニの森の物語』の主人公にして、アルゼンチン日系社会の重要人物であった帰山徳治の末娘エウロヒア・カイリヤマ氏より父親について、また家族の逸話についてうかがった。また同氏の家族にも会い非日系人から見た徳治の人柄についても聞いた。日本人移民史編纂委員会コーディネーターの久田アレハンドロ氏につきそわれ、ラプラタに所在する移民資料館を見学し、農場試験場であった歴史、他で所蔵されていない邦字雑誌『ラプラタ』の一部を書き写した。また同氏にはブエノスアイレス港にある移民博物館にもつきそってもらい、日本移民を他国からの移民の波の中で考えるヒントを得た。唯一の邦字新聞『ラプラタ報知』、増山も参加していた『アルゼンチン日本文芸』に数十年かかわる崎原朝一氏(2014年秋に没)より、1960年代の逸話や残されていない文芸詩などについての話をうかがった。 上記増山作品の舞台となるミシオネス州オベラーを訪れ、徳治の末息子フアン・カルロ氏一家より徳治についての印象をうかがい、増山作品の舞台となる地を見学した。同氏にはさらに奥地に入ったアリストブロ・デルバレ在住の川柳作家小川忍氏、文芸愛好家大高ロベルト敢氏を紹介してもらい、日本との文芸的交流について、孤立の中で日本からの雑誌を読む意味について話をうかがった。ラプラタ大学アジア太平洋学科にてセシリア・オナハ教授の主催で日本移民の文芸についての講義を行った。 このほか、通常通りサンパウロに滞在し、俳句サークル蜂鳥の月例会に参加したほか、歌人梅崎嘉明氏、ブラジル日系文学会の中田みちよ氏を訪問し活動状況について聞いた。
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Research Products
(3 results)