2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520283
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浜名 恵美 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20149355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 弘幸 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00302901)
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 異文化理解 / 世界シェイクスピア上演 / 上演研究 / パフォーマンス / 文化交流 / ディジタル・アーカイブ |
Research Abstract |
浜名は、5月末から6月初旬まで、ロンドン・オリンピックに合わせて開催されたシェイクスピア・オリンピックの一環であるロンドンのグローブ座のGlobe to Globe 2012(シェイクスピアの37作品を世界各地から招聘された劇団により37言語で上演)の上演研究のために出張し、アフリカや中近東等の7作品を見て、その報告書を英語で出版した。8月下旬には富山県の利賀で開催された演劇祭に出張した。 平成24年8月に、浜名の著書『文化と文化をつなぐ:シェイクスピアからアジア現代演劇まで』が筑波大学出版会から出版された。英語で書かれた3本の論文と報告書が、それぞれインド、スペイン、日本で刊行された。 国際セミナー開催は、平成24年9月の日本政府の尖閣列島国有化により、平成24年10月に予定されていた北京における鈴木忠志演出の日中共同公演『リア王』が延期されるという全く想定外の事態により、平成26年度以降に延期せざるをえなくなった。 近藤は、平成24年度末に実施された日本シェイクスピア協会会員の投票によって実施される選挙により、運営委員に選出され、シェイクスピアの上演研究分野等の委員を務める予定となった。また、共著『愛の技法:クィア・リーディングとは何か』(中央大学出版部)を出版し、明治期日本の『ロミオとジュリエット』の翻案小説のテクスト分析を行い、日本におけるシェイクスピア受容の諸相の検討を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最大の目標は平成25年度に「世界シェイクスピア上演をとおした異文化理解教育」に関する国際シンポジウムを開催し、その成果を英語で論文集として出版することであった。また、従来の欧米中心主義を脱して、東アジアの国際チームが構築中のASIAのディジタル・アーカイブの活用を重視する予定であった。しかし、平成24年度のGlobe to Globe 2012(シェイクスピア37作品の37言語上演)の衝撃は大きく、そのディジタル・アーカイブもまた、前者とは比較にならないスピードで大量の映像及び文字データと世界各地からのフィードバックを公開している。このため、平成25年度にはグローブ座に再度出張し、教育部門担当者と面談予定である。この他に、平成25年12月にインドのラクナウ(Lucknow)で開催される世界文学学会にも東インド・シェイクスピア学会のロイ会長から招聘され、口頭発表とセミナーの司会を行う予定である。国際セミナーの実施は1年遅れて平成26年度になる見通しであり、当初の研究計画どおりではないが、本研究課題の目的に合った活動を行い、成果をあげる見通しがあるので、おおむね順調に進展していると言えよう。 また、浜名が平成23年第8回世界シェイクスピア会議(開催地:チェコ共和国プラハ)のセミナーで一部を発表した論文の全体が、著名な学者の論文と共に、スペインのアリカンテ大学紀要に掲載されたことも、研究の国際化と海外発信の点で評価に値する。 近藤は、演劇・パフォーマンス研究者として活躍をしており、共著『愛の技法:クィア・リーディングとは何か』を出版し、明治期の翻訳・翻訳研究を推進することをとおして、本研究の歴史的パースペクティブを深化・拡大することに引き続き貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
浜名は8月にロンドンのグローブ座に出張し、上演研究、図書館及びディジタル・アーカイブ調査、教育部門担当者との面談、平成26年10月開催予定の日本シェイクピア学会のセミナーへの出張依頼交渉等を行い、本研究課題を推進する予定である。12月には招聘されているインドの世界文学会議に出張し、世界上演研究をとおした異文化理解教育に関する口頭発表とセミナーの司会を行い、また情報交換を行う予定である。インドには著名なシェイクスピア学者がおり、また実に多種多様な上演を行っているので、インドに出張する意義は大きい。 近藤は、引き続き、世界シェイクスピア上演の翻案・翻訳研究のケース・スタディとして、明治期の日本において新聞連載小説として執筆され発表された作品を当時の文脈において分析し、その成果を論文として公開する。それとともに、現代における多様なシェイクスピア受容(上演、翻案、翻訳等)についてさらに広範に資料の収集とその分析を行う。さらに、日本シェイクスピア協会運営委員(上演研究等担当)として、本研究の推進を支援する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B=A)11,623円は、浜名が平成24年10月に予約していた北京出張の航空券や宿泊予約等の解約により派生したものであるが、平成25年度に2回の海外出張を予定しているので、それに使用予定である。 浜名の平成25年度研究費71万円の使用計画。8月11日―27日 ロンドンのグローブ座出張旅費 40万円。12月上旬1週間 インドのラクナウ等出張旅費 24万円。物品費(書籍・DVD・上演研究)7万円。 近藤の平成25年度研究費30万円の使用計画。物品費(特に明治期の文献等)25万円;10月4-6日 鹿児島出張旅費 日本シェイクスピア学会 5万円。
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Research Products
(6 results)