2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 秀子 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (70179092)
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Keywords | 男装 / ジェンダー / 児童文学 / 少女漫画 |
Research Abstract |
1950年以降の英米の児童文学およびヤングアダルト文学における男装の意味とその変遷という研究課題に関して、以下のことを行った。 (1)英米の男装を含む児童文学およびヤングアダルト文学作品の収集を引き続き行い、入手した作品についてポイントとなる作品の抽出を行った。抽出した作品の分析とデータベース化を進めた。(2)比較検討のため、男装を含む日本の少女漫画、児童文学、ライトノベル、小説、アニメ・ドラマなどの映像作品、および、女装を含む英米と日本の作品の収集を行った。ポイントとなる作品を抽出し、分析とデータベース化を進めた。その成果の一部として、論文「『僕はかぐや姫』における『男装』」を学会誌に発表した。(3)比較検討のため、英米のフェミニズム童話の分析を行った。論文「The Clever Princess から『アリーテ姫の冒険』へ」を公刊し、"The Reception of and the Reaction to Diana Coles' The Clever Princess in Japan"を学会で発表した。(4)ジェンダー論、異性装、服装、児童文学理論、現代史、社会理論などに関する文献の収集を行った。(5)比較検討のため、男装以外の方法で女性登場人物にジェンダーを超えさせる作品の収集と分析を行い、成果の一部を国内外の学会で発表した。(「子どもの本などにおけるジェンダーとジェンダー解消の試み」、"Gender-Sensitive Representations of Boys and Girls in Contemporary Japanese Children's Books") 以上の研究活動により、英米および日本の作品における男装の概要をより正確に把握することができたため、その意味と変遷を解明する基盤が徐々に整いつつあり、本研究を推進させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画に記載した(1)英米の男装の女性を扱った作品を収集する、(2)ジェンダー論、異性装関連、服装関連、現代史、社会学、児童文学関連などの文献を収集する、(3)比較対照のため、男装を扱った英米の小説、英米のフェミニズム童話、男装を扱った日本の少女漫画、児童文学作品、小説、戯曲などの収集を行う、(4)大学などの研究機関や図書館等で資料の収集を行う、(5)収集した作品を分析・分類し、男装の女性のデータベース化を行う、(6)英米と日本における男装の女性像の分析のポイントとなる作品の抽出を行う、(7)研究目的に掲げた観点から、男装の女性を扱った作品の理論的考察を行う。この際、日本の作品、大人向けの作品における男装の登場人物、および女装の男性登場人物を含む作品、フェミニズム童話、漫画などとの比較も行う、(8)これまでに得られた成果を学会などで発表する、につてはおおむね計画通りに進んでいる。英米の男装を扱った作品に関しては、絶版などの理由により入手不可能な作品もあり、予定よりも作品の収集が遅れているものの、現時点で収集した作品についての分析とデータベース化は進んでいる。また、英米の男装作品との比較対照を視野に入れて研究を進めている英米のフェミニズム童話や男装を使わずにジェンダーを超える女性像を含む作品の研究は、順調に進んでおり、学会誌での論文発表や国内外の学会での発表を行った。なお、現時点での研究成果の一部をもとに、平成25年8月にオランダで開催される国際学会The 21st Biennial Congress of the International Research Society for Children's Literature(査読あり)で口頭発表を行うことが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度と24年度の研究成果をもとに、男装のジェンダー的な意味を多角的な視点から明らかにし、女性の社会進出という時代の変化にともなう男装の表象や男装の意味の変化の有無などについて、さらに研究を深めていく予定である。 平成25年度の研究計画は、以下の通りである。 (1)引き続き、研究課題に関連した文献、資料の収集を行う。(2)大学等の研究機関その他で関連情報および資料の収集を行う。(3)引き続き、収集した作品を分析、分類し、男装の女性のデータベース化を行う。(4)これまでに得られた成果を学会などで発表する。(The 21st Biennial Congress of the International Research Society for Children's Literature(於オランダ)などを予定。)(5)研究全体のまとめを行い、報告書を作成する。(6)本研究で得られた知見に立脚して、本研究が明らかにしようとしている課題についての論考をまとめた論文および論集の執筆を準備する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用計画は、以下の通りである。 (1)書籍(英米の児童文学、ヤングアダルト文学、小説、ロマンス小説、漫画、アニメなど。日本の少女漫画、児童文学、ライトノベル、小説、アニメ、ドラマなど。フェミニズム童話。ジェンダー論、異性装関連図書など。)(2)旅費(国際学会および国内学会への出席・成果発表。資料収集。)(3)人件費・謝金(資料整理の補助)(4)文具・コンピュータ関連消耗品、複写費など。
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Research Products
(6 results)