2011 Fiscal Year Research-status Report
17世紀における伊英文化の邂逅に出版が果たした役割についての実証的研究
Project/Area Number |
23520324
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
冨田 爽子 拓殖大学, 工学部, 教授 (30197925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 晶子 拓殖大学, 国際学部, 教授 (60384707)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英文学 / 17世紀 / ヨーロッパ文学 / 書籍 / 書誌学 / イタリア / 出版 / 翻訳 |
Research Abstract |
本研究は1603年から1642年に英国で出版された全ての‘Italian Books’ を調査し、応募者が確立したメソッドによって書誌学的記述を試み、イタリア ルネッサンスの大きな影響を受けて英国文化を開花させたその過程において出版の果たした役割を明らかにすることを目的としている。1642年以降、大変容を遂げる英国の出版活動の直前にそれらの ‘Italian Books’ が英国の文人や知識階級及び劇作家とどのような文化的邂逅を遂げたかを実証的に検証し、当時の文学や演劇にどのような影響を与えたかを明らかにしようとするものである。初年度である平成23年度は、まず46万冊を網羅する English Short Title Catalogue (ESTC) の中から 1603年~1642年に出版された ‘Italian Books’ を抽出する作業に専念した。ESTC は原則として、著者または翻訳者、編集者別に編纂されているが、書名などからだけでは判別できないものも多く、その抽出には莫大な時間と労力を必要とする。学期中は電子データ等により大まかなデータ整理を行い、夏と春の2回にわたって渡英し、主としてBritish Library やLambeth Palace Library, Oxford Library, The Shakespeare Institute 等で資料を集め分析を試みた。同時に、本研究では抽出した本が訳出されたイタリアの原典にも当たることが不可欠であり、これらの書物の多くは電子化されておらず、また必ずしもBritish Library に所蔵されておらず、その詳細を探るのに困難を極めている。幸い各国の図書館が、問い合わせなどに快く協力してくれるので、大いに助けられている。画像なども時間はかかるが、2~3ヶ月くらいで入手できるようになり研究の進展に役立っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに161 books, 378 editions の‘Italian Books’ を抽出することができた。今まで‘Italian Books’ と認識されていなかった書物を多く発見することができたので、満足している。抽出作業に予定以上に時間がかかったので、次年度はこれらの書籍の書誌学的記述に専念したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出した ‘Italian Books’ の書誌学的記述に専念する。既に 1610 年までに出版された書籍については大まかではあるが、記述ができているので、残りの書籍の記述を推し進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で大切にしているのは、1冊1冊の書籍に実際に当たって書誌学的記述を試みることである。同じ版でも、さまざまな事情で、異なった内容、また印刷の進行中での変更などがあるので、欠かせない作業である。そのために、研究費の大半を外国旅費と資料収集に充てたいと考えている。
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