2012 Fiscal Year Research-status Report
17世紀における伊英文化の邂逅に出版が果たした役割についての実証的研究
Project/Area Number |
23520324
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
冨田 爽子 拓殖大学, 工学部, 教授 (30197925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 晶子 拓殖大学, 国際学部, 教授 (60384707)
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Keywords | 英文学 / 17世紀 / 外国文学 / 書籍 / 書誌学 / イタリア / 出版 / 翻訳 |
Research Abstract |
本研究は1603年から1642年に英国で出版された全ての‘Italian Books’ を調査し、応募者が確立したメソッドによる書誌学的記述を試み、イタリアルネッサンスの大きな影響のもとに英国文化を開花させた過程において出版の果たした役割を明らかにすることを目的としている。1642年以降、大変容を遂げる英国の出版活動の直前においてそれらの ‘Italian Books’ が英国の文人や知識階級、及び、劇作家とどのような文化的邂逅を遂げたかを実証的に検証し、当時の英文学や英国演劇にどのような影響を与えたかを明らかにしようとするものである。 平成24年度は、引き続き46万冊を網羅する English Short Title Catalogue の中から 1603年~1642年に出版された ‘Italian Books’ を抽出する作業に専念した。ESTC は原則として、著者別に編纂されているが、書名などからだけでは判別できないものも多く、その抽出には莫大な時間と労力を必要とする。学期中は電子データ等によりデータ整理を行い、夏と春の2回渡英し、British Library やLambeth Palace Library, Oxford Library, The Shakespeare Institute、Cambridge University Library 等で資料を集め分析を試みた。同時に、本研究では抽出した本が訳出されたイタリアの原典にも当たることが不可欠であり、これらの書物の多くは電子化されておらず、また必ずしもBritish Library に所蔵されておらず、その詳細を探るのに困難を極めている。幸い各国の図書館が、問い合わせなどに快く協力してくれるので、大いに助けられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に抽出した161 作品に加え今年度新たに25作品を発見し、本研究で扱う‘Italian Books’は合計186 books, 333 editionsとなった。今まで’Italian Books’ と認識されていなかった書物を多く発見することができたので、満足している。この一連の作業の中で、1603年以前の‘Italian Books’についても、すでに拙著で掲載した291 books, 451 editions に加えて、41 books, 74 editions を発見したので、これらも本研究に補遺として含めることにした。抽出作業に予定以上に時間がかかったので、次年度はこれらの書籍の書誌学的記述に専念したいと考えている。 書誌学的記述も順調に進んでおり、すでに1625年までに出版された書籍については、大まかではあるが記述を完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
‘Italian Books’の抽出作業は一応終了しているので、今年度は1626年から1642年の間に出版された‘Italian Books’の書誌学的記述に専念する。何とか今年度中に記述を完成させたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で大切にしているのは、1冊1冊の書籍に実際に当たって書誌学的記述を試みることである。同じ版でも、さまざまな事情で、異なった内容、また印刷の進行中での変更などがあるので、欠かせない作業である。またそれらの書籍の原本であるイタリアで出版された書籍はBritish Library だけではなく、世界中の図書館に散在しているので、直接それらの書籍に当たることは極めて困難である。研究費の外国旅費が当初の予算を上回っているが、理解を得て研究を完成させたいと考えている。
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