2015 Fiscal Year Annual Research Report
シェイクスピア・フォリオの書き込みにみられる読者像
Project/Area Number |
23520333
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
住本 規子 明星大学, 人文学部, 教授 (10247174)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | シェイクスピア / フォリオ / 読者 / 書き込み |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17世紀に4版まで出版されたシェイクスピア・フォリオの現存するコピーに残された読者の書き込みを資料として、主として18世紀の読者によるシェイクスピア受容の実態について、より具体的な解析を試みる読者論である。 1年間延長が認められての最終年度となった今年度は、4月当初開催されたアメリカシェイクスピア学会(SAA)の年次大会で、Jean-Christophe Mayer教授とともにco-leaderとして"Reading the First Folio Then and Now"と題するセミナー(ワークショップ)を主催した。意欲的な参加者のペーパーからは多くの示唆を得ることができ、研究の今後の展開に役立つ活動であった。 6月には昨年発見されたファースト・フォリオを巡る国際学会が発見の地であるフランスのサントメールで開かれたが、一冊のフォリオコピーに特化した学会の開催というアプローチを学び、本研究の最終的な成果の出版につなげたいという目的で参加した。近接領域の英、米、仏の研究者と交流し情報交換をすることができたことも本課題にとって意義深いことであった。詳細は学会誌(日本シェイクスピア協会)に投稿、掲載された。 これまで、手つかずであった日本国内に所蔵されているフォリオを、京都外国語大学と甲南女子大学にて閲覧調査をすることができた。いずれも4つのフォリオをセットとして所蔵しており、貴重な情報を得ることができた。 最終年度として、本課題の全期間の成果を、冊子体81頁の『成果報告書』にまとめた。2013年度に行った国際シンポジウムの記録として、当事者の同意の上、当日の発話者全員の発表原稿も掲載することができたのは、幸いであった。本課題での最大の成果は、ボドリアン図書館所蔵のセカンド・フォリオの事例で、18世紀初頭におけるシェイクスピア受容の実態を明らかにしたことであろう。
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Research Products
(3 results)