2013 Fiscal Year Annual Research Report
危機の時代の文化多元主義 ー 雑誌『ドキュマン』とバタイユの野心
Project/Area Number |
23520400
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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Keywords | ジョルジュ・バタイユ / 『ドキュマン』 / フランス現代思想 / 民族誌学 / 哲学 / 宗教学 / 歴史学 |
Research Abstract |
今年度は、『ドキュマン』の多様性に即しながら、それぞれの領域でのバタイユの思想の射程を吟味した。『ドキュマン』から出発してバタイユの思想の幅と深さを検証したということである。特に注目した領野は、哲学、宗教、歴史、性理論、エクリテュール(文章表現)であった。発表媒体としては、法政大学文学部発行の紀要(年2回発行)と同大学言語・文化センター発行の紀要『言語と文化』(年1回発行)、および国際学会での発表(フランス、ミュルーズ大学で開催されたシンポジウムでの発表)、および単著(『魂の思想史ー近代の異端者とともに』筑摩選書)である。 具体的にその成果を示すと、『法政大学文学部紀要』には第67号に仏語論文「ジョルジュ・バタイユのエロティシズムについてー高・低の二元論から連続性・非連続性の二元論への変化」を、同誌第68号には仏語論文「ジュルジュ・バタイユと黙示録思想ーサン=スヴェールのベアトス本に基づいて」を発表し、さらに『言語と文化』第11号(2014年(平成26年)1月)には日本語論文「存在と観照ーバタイユの論考「80日間世界一周」をめぐって」を発表した。 また、2014年3月には上記大学開催の国際シンポジウム「エクリテュールと断章について」に参加し、「ジュルジュ・バタイユと断章形式のエクリテュール」を仏語で発表した。断章のモチーフが『ドキュマン』時代のバタイユにすでに存在していた点をを指摘し、それが後の『無神学大全』に結実していく経緯を明らかにした。他方で、単著『魂の思想史』(平成25年)の二つの章において、『ドキュマン』時代に展開されたバタイユの民族誌学への関心と、同時代の前衛芸術家(ピカソ)および日本人留学生(中谷治宇二郎、岡本太郎)との接点を探った。 総じて今年度にたてた目標(『ドキュマン』とその後のバタイユおよび他の思想との関連の考察)は十分に達成されたと判断している。
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Research Products
(5 results)