2011 Fiscal Year Research-status Report
旧満洲地域の都市歴史文化地図シリーズ第一分冊「大連、旅順編」の制作
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23520439
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木之内 誠 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50195327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平石 淑子 日本女子大学, 文学部, 教授 (90307132)
大久保 明男 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10341942)
橋本 雄一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30305403)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歴史文化地図 / 大連 / 満洲国 |
Research Abstract |
地図に記入されるべき項目のデータベース化の作業を開始した。具体的には、新旧の道路名、各種機関・建造物などについての項目を選定し、位置情報、建造年代など関連する各種の情報を分類整理して記入していった。関連図書、雑誌論文、関連ウェブページなどのデータベース化した整理を同時にすすめた。この基本データベースファイルは、オンライン上において、各メンバーによる資料データベースの更新に競合・上書きなどの事態の生じないようにした。 2011年9月および翌年2月の二度にわたり、メンバー合同による、大連および旅順、金州地区での現地調査を行い、調査用地図への現場情報の記入、映像による記録をすすめた。これと平行して、大連図書館、大連出版社、現地古書店などで関連文献資料の調査、収集、購入につとめた。大連近代史研究会副会長の王珍仁氏、大連図書館古籍部副主任の冷繍錦女史ら現地の学術関係者らと交流を進めた。 この研究課題の遂行に関して、個別メンバー間の連絡調整を随時行なったほか、全メンバー合同の会合を昨年度中に4回開催した。2011年12月17日には、日本女子大百年館高層棟会議室において、「満洲国」文学研究会第21回定例会の特別企画として、「植民地都市を掘り起こす~大連・ハルビンをめぐる記憶学~(「大連・旅順歴史地図制作」科研プロジェクト・ワークショップ)を開催し、各メンバーが口頭発表をおこなった。 本課題に関連する作業として、本課題のひな形となった上海歴史地図の最終的な改訂作業を進め、その最終実地踏査を2011年8月に行い、これらの結果をふまえ、年末には増補改訂版の刊行にいたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内資料および現地での関連資料の収集は、当初の想定の範囲内で進んでいるが、この資料を用いた基礎的な資料のデータベース化の作業がさほど進捗していない。上海歴史地図制作の経験から類推して、大連についての基礎資料項目の件数を、ほぼ3000件程度と想定しているが、現在までの入力データは700件程度に止まっている。 また、作業プランの最終形態となる地図の図面自体についても、実地調査時に書き込み可能なレベルまで作り込んだものは、なお中心部の3枚程度に止まっている。これも最終的には十数枚に達する予定であり、その進捗状況は決してすみやかであるとはいえない。この点については、研究代表者による作業を、今後加速する必要がある。また、解説項目の執筆に関しては、項目の選定の作業が進行していない状況である。現地調査活動自体に関しては、大連、旅順地区に関しては、おおむね予定の進度で調査が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に続いて、文献資料の調査とデータベースの整備拡充とともに、現地調査を各メンバーがそれぞれ一、二回程度実施する。文物保護単位などの現況調査を中心として、ポイント周辺の界隈性の把握、街並み景観・指定建築などの写真・ビデオ映像の撮影などを集中的に行う。今年度末に予定されている大連市文物局による「登録不可移動文物」リストの発表をうけて、新たに発掘された登録文化財についての追加調査も実施する。また、この地に住む人々の生きた経験に学ぶべく、「場所の記憶」に関わる認知地図的な聞き取り調査も、可能な限りこれと並行して行いたい。 課題の開始時点ではその存在を把握していなかった『たうんマップ大連』の各版本を入手して、記載された情報を整理、活用していくとともに、その制作にも関与した旧時の大連で生活した現在日本在住の人々からの当時の状況に関する聞き取りを行っていく。 地図制作の技術的な側面では、大連で特徴的な地形の起伏表現についての表現手法を開発する必要がある。また、『上海歴史ガイドマップ』でも部分的に採用していた、立体的表示の本格的な導入を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者のひとりの旅費支出に少額の残余が生じた。次年度研究費の主な使途である海外旅費に繰り入れて使用する予定である。
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Research Products
(9 results)