2011 Fiscal Year Research-status Report
語用論的推論の神経科学的研究:文脈的含意と会話的含意
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23520521
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
時本 真吾 目白大学, 外国語学部, 教授 (00291849)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳波 / 事象関連電位 / 語用論的推論 / 演繹 / アブダクション / 大域的同期 |
Research Abstract |
本研究は、言語コミュニケーションにおける伝達意図理解において、演繹とアブダクションが重要な役割を果たしている点に着目し、言語刺激の語用論的操作によって両者の脳内機序を実験的に考察する。特に、時間解像度が高い脳波を指標として、これまで全く不明だった語用論的推論の時系列機序を検証する。本研究では、様々な会話について(1)(2)の様に文脈を操作し、会話の視覚・聴覚提示に伴う脳電位変化を測定することで語用論的推論の神経基盤を考察する。まず初年度は(1)(2)のCの発話が惹起する事象関連電位(event-related potential, ERP) を測定し、それぞれの脳内処理に対応するERP 成分を特定した。(1)演繹談話A:「新任の近藤教授は哲学専攻なんだってね。」B:「近藤さんと話したことある?」C:「僕は哲学者とは話をしないんだ。」(2)アブダクション談話A:「新任の近藤教授は関西出身なんだってね。」B:「近藤さんと話したことある?」C:「僕は哲学者とは話をしないんだ。」日本語母語話者31名について実験を行った結果、統制談話に比して、含意を伴う演繹・アブダクション談話は潜時約400msの陰性波(N400)を惹起し、さらにN400の振幅はアブダクション談話の方が演繹談話よりも大きかった。N400は一般に意味処理の指標と考えられているので、アブダクション談話の振幅が演繹談話よりも大きかったことは、アブダクションが演繹よりも、より複雑な脳内処理を伴うことを示唆する。また、発話者の意図理解精度はアブダクション・演繹談話間で差がなく、N400の振幅差異が処理負荷のみに還元されるものではないことに注意すべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にはERP測定を行い、第2年度に脳波の大域的同期を考察する予定だったが、ERPについては有意な傾向を見いだし、既に大域的同期の解析準備に入っている。本研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、脳波データをさらに蓄えるとともに、脳波帯域別のPowerと大域的同期の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数学的にかなり高度な試みになるので、解析用ソフトウェアの購入と、専門知識の提供を求める予定である。
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Research Products
(6 results)