2011 Fiscal Year Research-status Report
学校方言の成立と展開に関する基礎的研究ー学校建築用語を軸にー
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23520551
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中田 敏夫 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60145646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 恵美子 中京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00217754)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校方言 / 建築用語 / 教育関係行政文書 / 語誌 |
Research Abstract |
1年目の本年度は基礎資料の収集を中心課題とし、データ入力等も行った。学校用語の収拾は、文献資料においては図書館・資料館・公文書館などでの調査によるしかなく、本年度は長野県松本市開智学校、山形県教育博物館、愛媛県西予市開明学校、東京都・愛媛県・徳島県・沖縄県などの公立図書館・公文書館等で実施した。調査地を東北地方から、中部、四国、沖縄と全国に展開したことで、明治期の国レベルの行政用語(文部省示諭など)が地方の県レベルでどのように取り扱われたかの全国的な流れ、異動が見えてきた。これらを精査することで、標準的な用語の全国的な統一がどの時期に確立していくか、どのような政令が関与するかなどの課題が見えてきつつある。またそれだけに、学校用語の収拾には県立図書館・公文書館等に保存されている「県令・府令」などの行政文書を調査することの意義・重要性が見えてきたともいえる。 また、建築関係の図書資料を購入し、明治以降の学校建築を含む建築全般の流れも確認している。 これまでの研究成果と今年度の開智学校ほかの調査結果を踏まえ、日本方言研究会第93回研究発表会(高知市 2011年10月21日)で「「黒板拭き」に関する用語の変遷」を発表し、学校方言研究の一つの方向性を示した。従来看過されてきた研究対象であり、これからの方言研究の一つのあり方を提言できたと考えている。会場からは多くの貴重な示唆を得た。 なお、収拾したデータは学校用語データベースとして逐一入力し、整備に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に書いた通り、本年度予定した図書館等の全国的な調査を実施でき、多くの資料を収集できた。これにより当初の研究課題としていた学校建築用語の全国的な流れを把握でき、概ね順調に進展していると総括できる。 ただ、資料の収集と整理に追われ、「黒板拭き」に関しては物とことばの関係、変遷を分析できたが、他の学校建築関係用語の語彙分析にまでは至らず、分析検討が不十分に終わっている。次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の残り2年間も、基礎資料の収集活動を継続する。1年目は校舎・教室等の「構造物」を中心にしていたが、黒板・机等の「設備」、及び黒板拭き・チョーク等の「物品」へと対象を展開する予定である。これらは行政文書中心の1年目と調査対象が変わっていっているので(学校所蔵設備台帳や、メーカー製作カタログなど)、それに応じた調査方法の工夫も必要なところである。 また語彙分析を積極的に行い、学校関係用語としての共通的な性格、語毎の個別的な性格を位置づけ、当該語彙が学校方言として成立していく背景を明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策に書いた通り、調査を継続する必要がある。学校設備台帳などはそれらを保存する学校ごとに、カタログ等は国立国会図書館等に調査訪問が必要となるので旅費を相当額計上している。またそれら資料を、入力整理する必要もあり、謝金を要する。そのほか、若干の消耗品費をあてている。
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Research Products
(1 results)