2012 Fiscal Year Research-status Report
学校方言の成立と展開に関する基礎的研究ー学校建築用語を軸にー
Project/Area Number |
23520551
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中田 敏夫 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60145646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 恵美子 中京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00217754)
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Keywords | 学校方言 / 建築用語 / 教育関係行政文書 / 語誌 |
Research Abstract |
2年目の本年度は、1年目に引き続き、基礎資料の収集を中心課題とし、データ入力も積極的に行った。 学校用語の収集は、文献資料においては図書館・資料館・公文書館などでの調査によるほかなく、本年度は、伊那市立高遠図書館を新たに、また昨年度に引き続き愛媛県立図書館・沖縄県立図書館などで実施した。昨年度時間が足りずに完成できなかった愛媛県立図書館と沖縄県立図書館で追加調査を行った。課題である学校教育関係用語について、昨年度は行政文書中心に調査を行ったが、今年度は引き続き教育会雑誌に掲載された論文記事、雑報等、一つ一つの資料を丹念に拾い出す作業が中心となったため、時間の割にははかが行かなかった点はあった。しかしこの成果としては、明治以降明治政府の関与する状況が遠く離れた沖縄においても同断であったことと、そのような学校用語が県の学校現場に浸透していくプロセスにおいて、教育会雑誌の役割が初めて見えてきたことは大きな収穫であった。これは方言と標準語の関係を考える上で、大きな示唆を与えてくれるものであった。当時はマスコミがあったわけでもなく、中央語がどのように各地に浸透するか、またその浸透は地域差があるのかないのかといった課題はとりわけ流行語のような性格を持たない学校用語においては十分とらえることができなかった。その意味で興味深い結果を得たと考えている。 また、中国人留学生に協力を仰ぎ、学校用語の中国語訳並びに、中国語辞書での対照研究により、学校用語の漢語との関わりも見えてきた(例えば「教場」が日本語での創出であった可能性など)。なお、得られたデータは学生により入力され、今後の検討分析に供することが可能となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に書いたとおり、昨年度十分に調査し切れていなかった図書館・公文書館などでの調査は順調に進めることができ、多くの貴重な資料を入手することができた。これにより、当初研究課題としていた学校建築関係用語の全校への浸透のプロセスが明らかになったので(特に教育会雑誌の対照より)、達成度に仮名しては概ね順調であったと言える。また当初予定していなかった中国語との対照を行うことで、明治期の学校用語の成立に関し、新たな視座を得たことも成果であったと言える。 ただし、教育会雑誌の調査は時間の割にはかが行かず、調査自体もやり残しているところである。データ入力も進めているが、これもまだ不十分であり、次年度課題であると考えている。 なお、今年度予定していたカタログ等の調査は行う時間的な余裕がなく、これは来年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の残り1年間では、未だ不十分な基礎資料の収集作業は継続する予定である。1年目は校舎・教室等の「構造物」、2年目は黒板・机などの「設備」を中心としていたが、もっぱら各県の使用状況を、行政文書、教育会雑誌などの公立図書館等の資料により明らかにしようとしたが、最終年度は、メーカー制作カタログや新聞雑誌などでの表れを中心とする。これにより、一般社会での標準語的な使用がどうなっているのかを、各地での分布と対照しながら明らかにする予定である。研究経費としては国会図書館・企業等カタログを収集している機関での調査費が必要となる。また、語彙分析を行うと同時に語誌的な観点からの分析も試みるためのデータ入力等の補助業務費、中国語との対照研究を進めるための謝金、さらには最終報告書の印刷費用等も必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当しない。
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