2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520555
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 博史 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90315929)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 節 / 構造 / 歴史変化 / 文法化 / 複合動詞 |
Research Abstract |
本年度における研究の業績は,以下のとおりである。(1)共著『ひつじ意味論講座5 主観性と主体性』(澤田治美編,ひつじ書房,2011年6月)(2)口頭発表「クル型複合動詞の史的展開」(国立国語研究所共同プロジェクト「日本語レキシコンの文法的・意味的・形態的特性」研究発表会,大阪大学,2011年9月)(3)編著『日本語文法の歴史と変化』(くろしお出版,2011年11月)(4)書評論文「山田昌裕著『格助詞「ガ」の通時的研究』」『日本語の研究』8巻1号(日本語学会,2012年1月)(5)研究ノート「異言語接触と日本語文法史」『文献探究』50号(文献探究の会,2012年3月)(6)共著『コミュニケーションと共同体』(光藤宏行編,九州大学出版会,2012年3月)(1)では「日本語における文法化と主観化」と題する章を執筆し,具体的な述語形式の歴史変化の記述を通じて理論の検証を行った。(2)では「~まくる」などの形式における歴史変化に関する記述を通じて,「語彙的複合動詞」「統語的複合動詞」という分類の妥当性について論じた。(3)は日本語文法史をテーマとする11本から成る論文集で,編者を務めた。自身の論文では,本研究の中心的課題である「節」の構造の歴史的変化について,述部における名詞節の分析を行った。(4)では格助詞「ガ」について歴史的観点から記述された著作に対して,「説明の妥当性」という観点を中心に評を行った。(5)では近代における「翻訳」が,日本語文法の歴史変化にどのような影響を与えたかという問題について論じた。(6)では「コミュニケーションと配慮表現―日本語史の観点から―」と題する章を執筆し,「依頼」と「断り」の場面における配慮表現の特徴について歴史的観点から記述した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
23年度の計画としては,述部における名詞節の歴史を考察する旨記したが,並行して行っている複合動詞の研究も予定より進んでいる。また,研究成果については,論文集として書籍の形で刊行することができたため,当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しており,研究計画の変更は必要ない。引き続き,歴史的観点から見た述語の構造をテーマとし,主節と従属節,単文と複文の問題を視野に入れ,さらに述語の並列と複合の問題も併せて分析を進めていく。研究成果については,今年度も学会発表・論文発表を積極的に行っていくものとし,書籍の形で広く発信していくことにも努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連図書の購入費,研究成果発表または研究打ち合わせに係る旅費,資料・データ収集に係る複写費,等を主に必要とする。
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Research Products
(7 results)