2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520572
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
柏野 和佳子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語資源研究系, 准教授 (50311147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 直子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (00199936)
木田 真理 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80401727)
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Keywords | 語彙 / 意味 / 位相 / 辞典 / 辞書 / コーパス |
Research Abstract |
(1)日本語教育におけるアカデミック・ライティング指導において文体差の指導が必要となる語の分析を行った。日本語学習者にとって必要度の高い文体的特徴を持つ語を,日本語教育の修士コースの学生4人がアカデミックな文章として書いた合計64の文書から抽出した。例えば,「A.そんなに/それほど,B.どれくらい/どの程度,C.一番/最も,D.すごく/非常に」の4組(前者がいわゆる話し言葉的で修正対象となった語,後者が書き言葉的な修正候補語となった語)についてその使用実態を『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)を硬[白書,教科書,広報紙,新聞],中[書籍],軟[雑誌,Webデータ]の3つに区分して調べた(中納言1.0.2を使用)。その結果,A,Bは,軟らかい文体で話し言葉的な語(そんなに、どれくらい)が多く使われ,一方C,Dは,特に硬い文体で話し言葉的な語(一番、すごく)がほとんど使われていない,という特徴を捉えることができた。いずれも使用実態からその文体差が明確に捉えられることがわかった。また。今回の調査で、書き言葉コーパスであるにも関わらず,いわゆる話し言葉的な語が,硬,中,軟のいずれの文体の文章にも使用され,その割合もあまり低いものではないという点が確認できた。それらの成果をまとめ,次のとおりポスター発表を行った。 木田真理・柏野和佳子「書き言葉均衡コーパスを活用した文体的特徴を持つ語の分析と記述の試み―アカデミック・ライティング指導を例に―」『日本語教育国際研究大会名古屋2012予稿集第1分冊(ポスター発表)』p.217.(2012年8月18日) (2)現行の国語辞典で扱われている「古風」という位相情報の調査分析とコーパスを活用した辞書記述の改善案を作成した。その成果をまとめ,論文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,国語辞典における位相情報(古風)のつく語が,現行の国語辞典でどう扱われているかを調査し,実際の使用実態をコーパスで分析し,新たな辞書記述の方法を提案し,その成果を論文誌へ投稿できた。 また,教育におけるアカデミックライティングにおける位相情報の活用に着目し,日本語学習者が誤りやすい位相情報をもつ語の調査分析を行い,その成果のポスター発表を行えた。このように,応用研究についても進めることができた。 文章語か口語か,硬い語か俗語か,といった位相情報のコーパス分析については,進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
古風な語に着目して成果をまとめ,投稿中である論文を論文誌に掲載する。また,分析が遅れている,「文章語か口語か」「硬い語か俗語か」といった位相情報のコーパス分析を行う。そして,日本語学習者が誤りやすい位相情報をもつ語の調査分析についても,さらに進めて,成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査分析を補助する非常勤職員の雇用継続を予定している。
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Research Products
(1 results)