2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520574
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
野村 忠央 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00366957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 悟 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80583476)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 仮定法 / 不定詞節 / 定形性 / 透明性 / 英語学 / 英語学 / 生成文法 / 通言語的比較 |
Research Abstract |
平成23年度は、研究代表者と研究分担者が持っている資料を整理し、仮定法節と不定詞節に関する一般化を提示した。この両方の節に適切な一般化の形成は、研究代表者と研究分担の2人で進め、形成された理論を学会で発表するという作業を行った。 研究代表者の野村忠央は「本当に2種類のtoが存在するのか?―制御タイプのtoと繰り上げタイプのto」(日本言語学会第143回大会)及び「不定詞節におけるVP削除について」(北海道理論言語学研究会第2回大会)と題する研究発表を行い、通説では不定詞標識toやその時制には、それぞれ「制御タイプ」と「繰り上げタイプ」の2種類があると主張されているが、本発表ではそれとは異なり、「不定詞標識to」にも[非定形時制]にも1種類しかないと主張した。また、一般に、「制御タイプのto」の後ではVP削除が可能であるが、「繰り上げタイプのto」の後ではVP削除が可能ではないとされているが、どちらのタイプのtoであっても「統語論的には」VP削除が可能なのであって、但し、それは「機能論的条件」が課された結果、容認性に差異が生じていると結論した。 研究分担者の菅野悟は「言語構造の通時変化とその理論的意義」(北海道理論言語学研究会第1回大会)、「機能範疇と言語変化―極小主義の観点から―」(日本英文学会北海道支部大会)、「定形性の諸問題」(北海道理論言語学研究会第2回大会、野村と共同発表)、「機能範疇の認可:通時と類型の観点」(北海道理論言語学研究会第3回大会)などで、諸構文における時制や機能範疇の役割についてまとめた。従来、仮定法節は法により屈折するため定形節であると考えられてきたが、統語的特性に焦点を当てると、仮定法節が不定詞を含む節と同様に、透明性の効果を示し、統語的には非定形節であると論じた。 以上、本研究1年目においては、研究の基礎となる統語的メカニズムを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、仮定法節と不定詞節の二つの構文を扱い、両者に存在する類似性と相違性がどのような統語的メカニズムにより生じるかを明らかにすることを研究目的として開始されたものであるが、上記、【研究実績の概要】にも記されているように、研究代表者と研究分担者のこれまでの研究成果の整理、仮定法節と不定詞節に関する一般化の提示の両方の面において、複数回の学会発表を通して積極的に提示されており、本研究は順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度に形成した理論が(1)通言語学的に妥当であるか、(2)他の構文にも応用できるかを検証する。この作業を通して、理論の発展と修正を行う。 まず、通言語学的にも妥当であるかどうかを検証するため、(i)日本語・韓国語、(ii)ロマンス語族、(iii)スラブ語族を観察する。これらの言語の仮定法節と不定詞節は比較的研究が進んでいるため、理論の妥当性を検証するためには、適切である。次に、形成された理論が他の構文にも応用可能であるかを検証する。ここでは、命令文、法助動詞(may, can等)を含む平叙文等の様々な構文に応用できるかを検証する。 以上のように、通言語学視点・通構文的視点から得られた結果を発表し、論文としてまとめ提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年同様、まず、資料収集、調査打ち合わせ、学会発表などの旅費への経常が挙げられる。第2に、不足している必要文献を購入する必要がある。第3に、パソコンや印刷・ファイル用品などの関連用品、文献複写費などの消耗品への支出を考えている。
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Research Products
(8 results)