2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520574
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
野村 忠央 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00366957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 悟 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80583476)
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Keywords | 不定詞節 / 仮定法節 / 定形性 / 不定詞標識to / 時制解釈 / 節の透明性の効果 / 法助動詞 / CPフェイズ(位相) |
Research Abstract |
本研究では、仮定法節と不定詞節の二つの構文を扱い、両者に存在する類似性と相違性がどのような統語的メカニズムにより生じるかを明らかにすることを目的として、研究を進めてきた。 大きな論点を記すと、研究代表者の野村は、1年目に、通説では不定詞標識toやその時制には、それぞれ「制御タイプ」と「繰り上げタイプ」の2種類があると主張されているが、実際には「不定詞標識to」にも[非定形時制]にも1種類しかないことを複数の学会で主張した。2年目には、本研究が他の構文にも応用可能であることを示すため、「法助動詞単義分析再考─根源的用法と認識的用法─」として学会発表、論文発表した。そして、3年目には、「法助動詞の普遍性」について発表し、また、bewareに基づく定形性の概念について論文化し、本研究の定形性の研究成果を取り入れた、一般社会への還元として、英作文の教科書を作成した。 また、研究分担者の菅野については、1年目に、本研究と関連する諸構文について、その時制や機能範疇の役割についてまとめた。また、2年目には、仮定法節は、従来の主張とは異なり、統語的特性に焦点を当てると、仮定法節が不定詞節同様、透明性の効果を示し、統語的には非定形節であると主張した。3年目には、to不定詞の時制解釈を再検証した。そして、本研究の内容が、通言語学的に妥当であるか、他の構文にも応用できるかを検証するため、類型論的、言語変化的な調査を主に行った。 現在の極小主義においては、節の透明性を含む節の諸特徴をCPフェイズ(位相)の特徴に還元することが試みられている。本研究のまとめとして、不定詞節と仮定法節の類似点、相違点を明らかにしようとした本研究の諸成果は、経験的事実、データに基づいた関連諸構文の性質を明らかにしたのみならず、CPフェイズについての極小主義的研究に理論的に貢献したものだと結論できる。
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Research Products
(7 results)