2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23520603
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大橋 浩 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40169040)
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Keywords | 主観化 / 間主観化 / 主観性 / 間主観性 / 文法化 / 構文化 / 強調詞 / 譲歩 |
Research Abstract |
25年度は、英語の名詞句が強調詞としての用法を発達させるプロセスやhaving said thatという分詞節が構文化するプロセスを共時的・通時的コーパスからのデータにより解明し、主観化、さらに、間主観的な用法を持つようになることを実証的に示し、その変化が、話し手の表出性(expressivity)や、聞き手の心的態度に対する話し手の反応や配慮、また、談話トピックをシフトさせようとする意図に動機づけられている可能性を指摘した。最終年度に行った研究の成果は、「第7章 文法化」森雄一・高橋英光編『認知言語学 基礎から最前線へ』(くろしお出版、155-179)、「Having said thatに関する覚え書き」、大橋浩他編『言語学からの眺望2013』(九州大学出版会、12-27)、"Grammaticalization and Subjectification in English Intensifiers," (第12回国際認知言語学会議)として発表した。 本研究期間を通して、英語強意副詞などの共時的特徴・通時的意味変化の分析により、(1)主観性>間主観性という発達プロセスの特定、(2)主観化が間主観化に先行するというTraugottの主張の正しさの検証、(3)主観化が話し手の表出性に動機づけられていることの解明、(4)主観的意味に加え、聞き手の心的態度に配慮した間主観的な意味が生じてくるプロセスの特定が明らかになり、当初の研究目的は実施計画通りにほぼ達成された。なお、Traugottは「(間)主観化」を完全な意味化と狭く定義するため間主観化と見なされる現象が極めて限定されるが、意味変化を正確に記述するためにはごの定義が言語学的には有効であると考えられる。 今後は言語表現が構文化していく中で主観化・間主観化が生じる場合を分析し、その要因を考察していく予定である。
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