2013 Fiscal Year Annual Research Report
「帰国しない留学」の長期的成果~日本に留学したラテンアメリカ出身者の場合~
Project/Area Number |
23520626
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 京子 名古屋大学, 国際教育交流センター, 教授 (60236578)
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Keywords | 留学成果 / 長期的留学成果 / ラテンアメリカ元留学生 / 日本留学 / 帰国生 / 留学生の就職 |
Research Abstract |
25年度はアメリカとカナダ数都市と日本国内でさらに10数名のラテンアメリカ出身元日本留学経験者に聞き取り調査を実施した。3年間の調査成果について、現在のところ以下のような傾向がみられる。 1.専門性:分野・人によって成果が異なる。国際的に著名な指導教員の影響で就職およびその後の仕事が順調だった場合がある。直接の応用が難しい分野を専攻した場合、現在も新たな職業に挑戦を続けている人もいる。 2.人間的成長:多くの元留学生たちは、留学が彼らに大きな人間的成長をもたらしたと感じ、ラテンアメリカと文化差の大きい日本社会での経験が、自信と他者からの評価につながった。 3.日本との関係:日本人と結婚したことで日本に残る選択をした留学生が多い。北アメリカ、ヨーロッパに住んでいる元留学生たちは、現在の地域での生活に便宜を感じている。長期間住んでも日本社会の一員になるのは難しいという認識が強い。 4.出身国との関係:アメリカやカナダ在住者は出身国から比較的近い地域に住んでいること、ヨーロッパ在住者は貨幣価値の違いから出身国に旅行しやすいことから、関係が維持しやすい。現在治安が悪化している地域出身の場合、帰国を思いとどまる人が多い。一部の元留学生は、国際的に移動する中、国境に影響されない選択をしている。5.国際社会との関係:日本留学中に、世界各国の留学生たちと協働したことが彼らの国際性を高めたと感じている。その後仕事や生活自体が国際的環境の中にある。6.次世代への波及 留学中に身に付けたまたは確認した価値観等を次世代や周りの人たちに伝えている。物事への専念、誠実さ、尊敬、時間を守る、などである。元留学生会などを通して、次世代に日本留学を伝える努力をしている人が多い。
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