2011 Fiscal Year Research-status Report
日本語音声教育における文末イントネーションの指導に関する研究
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23520632
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
轟木 靖子 香川大学, 教育学部, 准教授 (30271084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 直子 香川大学, 教育学部, 教授 (30314892)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 音声教育 / イントネーション / 終助詞 / 文末 |
Research Abstract |
本研究は,終助詞を中心に,日本語の文末イントネーションの全体像をつかむことにより,日本語教育の分野において,教師も学習者も利用できるような指導書を作成し,教材開発の基礎を築くことを目的とするものである。 まず,日本語母語話者が地域を問わず理解している音調の実態を明らかにする必要があるため,聞き取り調査及び録音調査をおこなった。当初の計画では,平成23年度は東日本地域を中心とした調査をおこなう予定であったが,震災の影響もあり実質的にはあまり進めることはできなかった。また,以前おこなった聞き取り調査では,調査時間の長さ(約20分余り)が問題となったため,調査時間を短くし,調査項目を効率よく少なくすることについての検討をおこなった。日本語母語話者に対する録音調査については,岡山,香川,大阪,新潟,東京での20代を中心とした調査結果から,共通語としてイメージされている終助詞の音調について明らかにした。また,留学生に実施した聞き取り調査から,同じ留学生であっても,母語によっていくつかの差がみられることがわかった。全般的な傾向として,下降や上昇下降のような感情表出の機能を持った音調が比較的理解されやすく,日本語母語話者が伝達のときに比較的よく用いる順接・平坦や疑問上昇のような音調があまり知られていないことを明らかにし,日本語教育で指導すべき音調の具体例を示した。 以上の研究成果について、日本語教育学会研究集会、日本語日本文化教育研究会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は全国の調査ということで,東日本,九州を中心とした調査をおこなう予定であったが,震災の影響もあり,とくに東日本の調査をすすめることはできなかった。また,九州については,当初計画していたものの,先方の都合でキャンセルとなり,実施できなかった。ただし,そのいっぽうで他の地域での調査を実施したり,予備調査を重ねておこなうなどにより,本調査の実施方法の再検討をすることができたほか,新潟、大阪、岡山、香川での録音調査を実施することができた。また,留学生への聞き取り調査の結果から,終助詞の音調の指導において,とくに重点とすべきものを抽出することができた。 以上の成果について、日本語教育学会研究集会、日本語日本文化教育研究会で発表し、参加者の意見やコメントを得て、今後の参考にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,聞き取り調査,録音調査を引き続きおこない,日本語母語話者が共通に理解している終助詞および文末の音調について整理する。 平成25年度・26年度は,日本語教師を対象とした音声教育に関する意識調査をおこない,また,とくに音声を専門にしていない者にとっても理解しやすい,音調の示し方について検討したうえで,とくに終助詞に重点を置いた文末イントネーションについての指導手引書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の予算400,000円は,物品費に25万円,旅費に15万円を充てる予定である。物品費の内訳は,図書,音声デジタル記録媒体,文房具等を予定している。平成23年度残額は12月に注文した録音機器(マイク等)が3月までに納入されなかったため出たものであるため、これに使用する。旅費は,録音調査及び研究成果発表に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)