2012 Fiscal Year Research-status Report
中国語教育における「インプット処理指導」の応用研究
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23520656
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
劉 愛群 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任准教授 (60469145)
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Keywords | 「インプット処理指導」 / 「把」構文 / アスペクト助詞「過」 / 習得 / 中国語 / 注意 / インプット / 文法指導 |
Research Abstract |
本研究は、「学ぶ」と「教える」という両面から、日本の大学学部学習者を対象とし、中国語学習における「インプット処理指導(PI)」に関する調査を行うものである。平成24年度は主に「教える」という面に焦点を当てた。24年度の上半期においては、前年度に検討された二つの言語項目、アスペクト助詞「過」と「把」構文の習得をめぐって、学習者の「インプット処理ストラテジー」に対して、教室指導(PI)では、何を行っていくべきかを検討した。具体的に、この二つの言語項目に関するPIの試案を作成し、現場の教師からフィードバックを得て、修正を重ねながら最終案を作成した。 平成24年度下半期においては、「把」構文、アスペクト助詞「過」の習得におけるPIの介入を行った。このように、実際の教室指導においては、インプット(理解)の重視、そしてインプットのどの部分に「注意」を向けるべきかというストラテジーを学習者に教えた上で、インプット処理を行わせるPIを教育手段の一つの選択肢として中国語の文法指導に取り入れることを試みた。この試みは、教室で実践してみることによって、産出練習の前の段階としてのインプットの効果の検証できるようになると思われる。 以上のように、24年度においては、前年度に引き続き、インプット処理指導や認知的視点からの学習方略の再検討をも加えながら、教育現場と理論的探索とを結合させた実践的かつ理論的な研究を推進してきた。今年度も第二言語習得研究や中国語学の分野における新たな知見、さらには現場で教えていらっしゃる先生方や学習者からのフィードバックといったリソースを活用しながら、中国語教育を学習者のニーズや学習プロセスに即したものに転換していくことの重要性を考えてきた。そして、これらの考察は、中国の国際学会で発表し、論文投稿も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、前年度の2つ言語項目の習得に関する調査結果の学会発表や論文投稿を行った。また、研究計画の通り、関連項目の教室指導の試案の作成、修正等の作業も行った。調査で扱われた2つの言語項目は大学1年次後期の内容であるため、平成24年度の下半期においては、集中的に実際の教室指導を行った。調査の対象者は、大学1年めの3クラス約90名の学習者で、調査期間は10月中旬から12月中旬まで約2カ月間である。調査の方法は主に、事前テストと事後テストの結果の比較(量的)、またPI経験者の中間言語の変容の観察(質的)である。現在、調査結果について、論文の形でまとめる作業を行っている。研究は、おおむねに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年までの研究成果を参照しながら、言語項目の「就」と「才」の習得に関する「インプット処理ストラテージ」の考察を行い、教室指導(PI)では何を行うべきかを検討していく。さらに、当該項目の習得においてPIの介入を行い、その結果を統計的処理・分析し、指導の効果を検証する。以上の成果は、国内外の学会で発表するとともに、学会誌への論文投稿を行う。また、国内外の専門家や教育現場の教師と意見交換した上で、最終的な成果としてまとめ、報告書を作成を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該次年度使用額のうち40,171円は前年度納品分の平成25年4月支払い分である。また、必要な物品を購入したのち生じた1円の未使用分については25年度に使用する。
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Research Products
(3 results)