2013 Fiscal Year Research-status Report
中国語教育における「インプット処理指導」の応用研究
Project/Area Number |
23520656
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
劉 愛群 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任准教授 (60469145)
|
Keywords | 「インプット処理指導」 / 習得 / 副詞「就」 / 副詞「才」 / 中国語 / 注意 / インプット / 文法指導 |
Research Abstract |
本研究は、教室指導がいかに効率よく習得のプロセスに介入できるのかという点に焦点を当て、初級段階の学習者を対象とし、中国語学習における「インプット処理指導(PI)」に関する調査を行うものである。PIは、インプット中心のアプローチの一つであり、学習者が目標言語のインプットを処理する際に用いるストラテジーを変化させる指導法であり、言語形式と意味と関係づけの強化を狙っている。平成25年度では、最初に、前年度の調査項目の一つ、「把」構文に関するPIの調査結果について、当年度9月下旬中国天津外国語大学に開催された「『漢語国際伝播歴史』国際学術研討会」で研究発表や研究者との交流等を行った。本発表では、第二外国語として中国語を履修している大学1年次後期の学習者66名(実験群(PI)対照群(TI)各33名)を対象に、「把」の指導を行い、当言語項目の習得に関して、伝統的な文法指導(TI:明示的な文法説明や文型のドリル及びアウトプット中心の発話練習)と較べ、PIは、より効果的であるのか、という点を巡って考察を行った。調査の結果では、一定の期間内(指導が行った1週間後)に限って言えば、PIの指導効果が見られた。一方、指導の長期効果に関して、両クループの間に大きいな差は見られなかった。この調査においては、PIが一つの選択肢として初級段階での中国語の文法指導に取り入れることで、インプットの効果を高める可能性が示唆された。また、25年度は、前年度の研究成果を参照しながら、中国語副詞の「就」と「才」の習得に関して、学習者の「インプット処理ストラテジー」に対して、教室指導(PI)では、何を行っていくべきかを検討した。さらに、当該言語項目の習得において、大学1年次後期の2クラス約60名が学習者を対象に、実際の教室指導を行った。現在、その調査結果を分析し、指導の効果を検証している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間延長申請書に記載された通り、研究代表者の不測の怪我により、長期間にわたり、歩行が困難となった。平成25年度上半期の採択された研究発表をやむをえず辞退することになった。また、平成26年の3月に、治療の続きとして再度短期手術入院することになった。以上の事情により、研究に遅延が生じた。当初計画予定の中国語副詞の「就」と「才」の習得と指導に関する調査を行ったが、現在、その調査結果を分析し、指導の効果の検証をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の下半期より、当初計画予定の副詞「就」と「才」の習得及び指導に関する調査を再開したが、現在その調査結果を分析し、指導の効果の検証をしている。また、「インプット処理指導」に関するいくつかの調査をまとめ、総合的に考察する必要もある。さらに、これからは、論文投稿を行い、国内外の専門家や教育現場の教師と意見交換した上で、最終的な成果としてまとめ、報告書の作成を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究期間延長申請書に記載された通り、平成25年度1月末、研究代表者の不測の怪我により、長期間にわたり、歩行が困難となった。25年度上半期の採択された研究発表(日本中国語教育学会及び海外の国際学会「第十一届国際漢語教学学術検討会」)やむをえず辞退することになった。そのため、未使用額が生じた。 次年度は、未使用額に関して、日本国内の学会や研究集会と海外の国際学会の旅費に充てて使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)