2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国語教育における「インプット処理指導」の応用研究
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23520656
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
劉 愛群 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任准教授 (60469145)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 「インプット処理指導」 / 中国語 / 副詞「就」 / 副詞「才」 / 習得 / 文法指導 / インプット / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、副詞「才・就」の習得と指導をそれぞれ検討した。「才・就」は、複雑なルールを持ち、初級段階で習得されにくい項目の一つである。調査の一つ目は、296名の学習者を対象に、ペーパーテストを通じての考察である。この考察では、学習者の中間言語において、二者の混同、脱落、添加及び語順の問題などの誤用を取り上げている。誤用の要因に関して、母語からの干渉、言語形式の複雑さ、中間言語ルールの過剰一般化、学習方略や他の外国語の学習経験などによるものだと分析している。調査の二つ目は、教室指導では、いかに学習者の認知的ストラテジーを配慮して展開していくのかを巡って、「インプット処理ストラテジー(IP)」と「インプット処理指導(PI)」の観点から考察した。「才・就」は主観量を示すもので、時間・数量・動量表現などと共なる場合が多い。学習者は、文中の主観量の意味を「才・就」や語順を頼りに捉えるのではなく、主観量を示す内容的表現から捉える傾向がある。彼らの中間言語においての脱落や語順の間違いなどの誤用に関しては、IPの一つ「語彙的意味の優先の原則 」に影響される可能性がある。各年度にも述べてきたように、PIはそう言ったストラテジーを変化させる方法の一つで、言語形式と意味との関係付けの強化を狙っている。二つ目の調査は、1年次後期の2クラスの学習者(PI実験群26名、TI対照群25名)を対象に、当言語項目の習得に関して、伝統的な文法指導(TI)と比べ、PIは、より効果的であるのかを中心に検討した。調査の結果では、統計上PIはTIより効果的であることが確認できなかったが、PI実験群とTI対照群は同じレベルであることが分かった。このように、PIは複雑なルールを持ち、習得しにくい副詞「才・就」のような言語事項の学習にも使えることが確認できた。現在、最終的な成果としてまとめ、報告書を作成している。
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Research Products
(2 results)