2011 Fiscal Year Research-status Report
ロシア語初学者のための語形成電子教材の作成について
Project/Area Number |
23520672
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上原 順一 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (30252737)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ロシア語 / 語形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ロシア語の初学者に対して語形成の教材をより良い形で提示する方法を、内容と形式の両面から検討して具体的な提言を行うことである。ロシア語の語形成(特に接辞付加)は語彙習得や文法学習などの局面で重要な意味をもつ。本研究では初学者にとって重要な派生語や接辞を取り上げ、それらに用例を付記することで、教材の素案を作成する。この際、学習者が学びやすいような用例を挙げることに配慮する。また、作成された教材素案がウェブなどで利用しやすいような方策を検討する。これは接辞の属性などによって、学習者が学びたい項目を動的に抽出するためである。最後に、得られた結果をウェブなどで発表する。本年度は、派生語の品詞や意味などを基準に主要な接辞のリストを作成した。たとえば、動詞について名詞をつくる接尾辞 тель には、大分類的な意味「動作特徴の担い手」と小分類的な意味「動作主」を記し、語例として водитель「運転手」、житель「住民」などを載せた。また、たとえば、動詞に付加し別の動詞を作る接頭辞 до については、大分類的な意味「空間」、小分類的な意味「目的地に達する」などである。主要な接辞は127種類である。特に動詞をつくる主要な接頭辞については、単純な語例 довезти「…まで運搬する」 など以外にも、довезти … до места назначения 「…を目的地まで運搬する」などの句例を書き添えた。 さらに、語形成の学習者が理解しやすいように、専門用語の説明を書き加えた。たとえば、「単語の構造」、「派生語」、「語形成の意味」、「語形成のタイプ」などである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成度は「おおむね順調に進展している」であると考えられる。ロシア語の接辞は 1000種類を超えると考えられているが、本年度はこの研究の成果が対象としている初学者にとって重要である接辞 127種を抽出し、それらにはすべて語例を記している。主要な動詞接頭辞については語例のみならず、句例や文例を付記している。また接辞と用例のリストのみならず、学習者向けがより良く語形成を理解できるように説明を書き加えている。これらのことを総合的に見て、本年度に計画した教材素案の作成をおおむね完成していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
接辞によって整理された派生語に用例を付記する。これは初学者に理解しやすいようなフレーズや短い文に限る。これはすでに部分的に行っているが、用例を記していない接尾辞にも書き加える。この用例は学習者が理解しやすい短い句や文に限る。また、用例などはロシア語話者の点検を受けて、より適切なものにする。この段階までの進捗状況によっては、次年度に計画している教材提示案の検討を行う可能性もある。逆に、用例の書き加えが予定通りに進捗しない場合には、特定の品詞や意味にそった接辞に範囲を狭めて研究を進めることもありうる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、基礎的な資料である派生語や接辞の収集に人件費・謝金として71250円(単価950円、75時間)の支出を見込んでいた。これは資料のパソコンへの入力を手作業で行う想定であった。しかしながら、別途購入したOCRソフトなどを利用することで、作業の効率化を図ることができ、45600円(単価は同一、48時間)に抑えた。また、設備備品費として図書、コンピュータ関連消耗品で合計 18750円を支出する見込みであったが、これも別途購入済みのものを利用した結果、支出をしなかった。次年度は、用例のさらなる充実化と母語話者の点検のために今年度より多くの人件費・謝金を予定している。これに対しては、本年度に支出をしなかった金額 25650円と次年度に計画済みである 71250円の合計 96900円を、時間単価950円、102時間として支出する見込みである。また、とくに用例充実化のために関連図書を購入する予定である。さらに、前年度とことなり複数人によるデータの交換などが生じるために、コンピュータ関連消耗品として記憶媒体などを購入する予定である。これらに対しては物品費として、本年度支出しなかった 18750円に次年度に計画済みである 18750円を加えた 37500円を当てる。
|