2011 Fiscal Year Research-status Report
日本のドイツ語教育におけるクラスルーム言語の使用と機能
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23520675
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
HARTING AXEL 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (80403509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 克己 広島大学, 外国語教育研究センター, 教授 (70232650)
吉満 たか子 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (20403511)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 授業法 / カリキュラム論 / ドイツ語教育 |
Research Abstract |
初年度の科研プロジェクトにおける研究活動では、広島大学で開講されている教養科目のドイツ語初級クラス(28コマ)をモデルに、自分自身がドイツ語授業で使用した言語のトランスクリプションとその分析を行った。授業において、ドイツ語と日本語を目的別に応じてどのように使い分けたらよいのかという課題について、学生たちによる研究補助を受けながら質的・量的分析を行った。その他に、授業において使用頻度の高いドイツ語と日本語の表現をまとめたリストを作成し、このリストと授業内容を記録した日誌に基づき、ドイツ語もしくは日本語を使用した状況及びその言語を選択した理由を検討した。これらのデータを包括的に分析したところ、文法事項や作業方法あるいは内容を説明したり、学生を動機づけたりする際には主に日本語を使用している一方、ドイツ語を実際にプレゼンテーションしたり、課題を指導したり、あるいは課題内容に即した事柄を述べる際にはドイツ語を使用しているという結果が得られた。さらに教科書の学課毎に区切って使用言語を分析した結果、授業の進度に伴い授業で使用する言語に変化が生じていることが判明した。ドイツ語と日本語の使用量に関してはさほど変化が見られないものの、学生たちの言語習得のレベルが向上するにつれてドイツ語の語彙が大幅に増大していることが認められた。これらの分析結果に加え、学期の開始時と終了時に学生に対して授業内容に関するアンケート調査を行った。その結果、学生は例え教師がドイツ語を母語としているとしても、主に日本語で授業を行って欲しいと望んでいることが明らかとなった。なお、日本のドイツ語教育全体の文脈においてより説得力のある成果を挙げるために、他大学のドイツ語教員に対し彼らの授業言語に関する聞き取り調査も行った。以上の研究成果を国際JALT研究発表会で報告し、学術論文という形式で刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究における方法を検討した上、授業での教員の発言を記録する機器としてビデオカメラではなく、録音機のみを使用することにした。ビデオの撮影が授業進行の妨害になると判断したためだが、そのため授業内容の表記化が重要な作業となった。当初の研究計画としては、様々な習得度のクラスを対象とし、授業での発言を分析する予定であった。しかしながら、データの入力を補佐するドイツ語を使用できる学生の助力が不足していたため、その全てを行うことは不可能であることが明らかとなった。そのため、さしあたっては研究対象を初学者向けのクラス一つに限定することにした。この制限によって、発話行為の分析においては、十分な論証を行うことができず、当初計画していたマンチェスターでの語用論学会での発表を見送り、海外での成果発表は2年目以降に行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目に当たる平成24年度には、現段階ではまだ行っていない、レベルの高いクラスにおけるクラスルーム言語の調査をまず実施する。その際、データ入力を円滑に行うために、調査に協力する学生の雇用数を昨年度よりも増加させる予定である。調査が済み次第、その調査結果を学会で報告し、引き続き、研究計画の2年目に当たる平成24年度に予定している研究活動を実施する。具体的には授業参観やインタビューを通じて、日本にいるドイツ語教師たちが使用するクラスルーム言語を調査する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の初年度においてはデータ入力における助力が不足したため、研究計画の2年目にあたる平成24年度においては、データの分析のためにより多くの補助員を同時に雇用する予定である。またデータの処理を並行して進めるとともに、同僚や補助員の学生とともに研究や発表を行う際に使用するため、ブック型のコンピュータを購入する。このため、二年目の研究では謝金、機材費ともにより多くの資金が必要になる。
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Research Products
(5 results)