2011 Fiscal Year Research-status Report
英語リスニングが苦手な学習者への高周波音域弁別訓練:行動分析学的検証と教授法構築
Project/Area Number |
23520752
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
東矢 光代 琉球大学, 法文学部, 准教授 (00295289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞邉 一近 日本大学, 総合社会情報研究科, 教授 (80209676)
石津 希代子 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 准教授 (10446180)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 高周波音声 / 英語 / リスニング / 行動分析学 |
Research Abstract |
本研究は平成20~22年度に実施した高周波音声の英語リスニングとの関係に関する研究に準拠している。その成果の中で、英語リスニング能力が低い学習者には、L/Rの弁別能力に課題を抱えているのはもちろんのこと、2000Hz, 3000Hzの純音の弁別能力においてもハンデを負っていることがわかった。本研究ではその成果を生かして、高周波音域の訓練の効果をうたう市販の教材の分析を行ないつつ、新たな指導法を検討すること、また英語教育分野ではほとんど取り入れられていない行動分析学のパラダイムを使った、効果的なプログラムを構築することを主眼とする。本年は前年度までの結果を再検討し、英語リスニングが苦手な学習者には高周波音域の訓練に特化した教材の使用を検討すべき、という結論に達した。また前回まで分析していたマジックリスニング(傳田式)および英語聴覚セラピーに加え、「バイオリスニング」という教材の分析を行なった。この装置を通した場合、音がどのように変化するかについて純音やノイズを通して検証したところ、3000~5000Hzの音が強調されて出力されることが確認できた。しかし説明書に記載のある「ゆらぎ」については確認できず、また音楽モードと言語モードの違いについては、周波数域の違いは確認できなかった。今後実際に学習者に聞いてもらい、どう認識するかのデータ収集が必要であるとの認識に至った。高周波音声の訓練に関する英語教育界の認知度は低く、この訓練法に対する認知度を高めるために、海外での発表に応募し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H20-22年度に採択された科研費の成果を元に、より具体的な指導法の構築を目指した1年目であったが、基盤となる高周波音声の訓練の意義についての再検討が遅れたことにより、全体のプロジェクト進行が遅れ気味となった。
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Strategy for Future Research Activity |
春休みに東矢・眞邉で次年度の研究の方向性について検討した。今年度必要なのは、まずバイオリスニングをはじめとする、高周波音域訓練を目的とした教材を、英語リスニングを苦手とする学習者がどうとらえるか、すなわち高周波音域を強調した音声を聞きやすいととらえるのか、聞きにくいととらえるのかを調べる必要がある。またそのような音声を聞き続けることで、耳にどのような変化がもたらされるのかを、調べていく。以前マジックリスニングを使わせた時の学生の感想から、英語を聞く耳がもともとあまりよくない学習者は、このような教材を使うことに負担を感じる(聞き続けるのがつらい、など)ことがわかっているが、それがバイオリスニングにも適用させるのかを、もっと実験的に調査する。もしこのような音声聴取訓練が学習者に負担をしいるものであれば、どのようにすれば、継続して聞き続けられるかを実行可能な学習法として検討していくが、そこには行動分析学の手法を用いて、スモールステップおよびフェードアウトやフェイディングを意識した教材の配列、自己フィードバックにおける学習行動の強化が可能なシステムを意識し、それを実験の際の指導法にも組み込んでいく。 なおリスニングを苦手とするこのような学習者の存在の認知度を上げるために、精力的に成果発表に力を入れていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず当初の計画通り、海外での成果発表のための旅費をメインに執行する。また研究を進める上では、3名が実際に顔を合わせての研究打ち合わせが最も有効であることがわかったため、打ち合わせのための国内旅費にも研究費を使用する。その上で、今年度十分とは言えなかった教材の分析に必要な機材を購入し分析を進める。また実験を行なうためのプログラム作成に向けて、素材となる音声の入手や、必要とあれば英語音声のレコーディングの対価としての謝礼にも研究費をあてたいと考える。
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Research Products
(1 results)