2015 Fiscal Year Annual Research Report
徳川儒学思想における清朝学術の受容:徂徠学以降の思想展開をめぐる新たな枠組の模索
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23520797
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
眞壁 仁 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30311898)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 徳川儒学思想 / 清朝考証学 / 舶来漢籍 / 儒礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際比較という点から本プロジェクトを総括し、最終年度の研究を進め、成果報告を行った。徂徠学以降の展開を、日本における儒学古典の校勘学の発達および明朝・清朝学術の受容の文脈のなかで位置づけることを試みてきたが、結果的には、儒学思想とその学問方法の検討だけに限定するのではなく、中世以来のより広い学問や実践の伝統のもとで検討するという新たな課題が与えられた。 1. 諸事情により昨年度実施できなかった、「徳川儒学思想における清朝学術の受容:近世以降の学問方法とその特徴から考える」と題する東アジア・ワークショップを、2015年8月に札幌で開催した。日本と韓国から、近世中国・朝鮮思想史・文学史の専門家たちを招き、それぞれの分野での研究状況と課題を提起してもらい、各人の個別研究の成果を共有した。具体的には、「儒学と詩文論における方法の推移」「文学の方法と受容の比較」「東アジアの人的交流と学問」「中世から近世への古典研究の方法」の四つのセッションを設け、中国・朝鮮・日本の近世文学と思想の「学問方法とその特徴」が、時代の推移とともにどのように変化していったのかを検討した。明清の中国学術の移入段階ごとに、近世期に共時的に現れる学問方法と特徴の究明しようとしたが、国際比較のなかで捉えた場合、近世日本の文献学的な考証学・考拠学は、清朝学術の移入だけではなく、中世の仏典研究における悉曇学や科文の影響のもとで位置づける必要があることを示唆された。 2. 前年度までの研究会や国際シンポジウム提出ペーパーを、その後の内容検討を踏まえて改訂し、そこで扱った個別的で多様な主題から国際比較のなかで一般化できる枠組みを、まずは儒礼の認識と実践に絞って提示した。論考「神の宿るところ」では、神仏習合した日本仏教の強い影響を受けた日本独自の伝統と、そこでの神霊の捉え方が、釈奠の実践に大きく影響していることを指摘した。
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Research Products
(4 results)