2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520807
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大隅 清陽 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80252378)
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Keywords | 古代交通 / 駅制 / 地域社会 / 廐牧令 |
Research Abstract |
最終年度である平成25年度には、研究全体のまとめとして、甲斐を中心とする中部山岳地域における内陸交通の様相の検討を進め、共著書として刊行するとともに、天聖令を含む日唐令の比較や、記紀の伝承から列島規模の遠距離交通の様相を読み取る作業などを進め、共著書1点、啓発的論文1点、学会等での報告2点の成果を得た。 共著書『古代山国の交通と社会』所収の論文「中部山岳地域における駅制と地域社会」では、東海道神坂峠を挟む美濃・信濃両国の駅制運営の特色を文献から検討し、強制的な人口移動による駅戸集団の形成や維持に見られるように、国郡制による駅制運営が地域社会のあり方に影響を及す様相を明らかにした。さらに甲斐国の御坂峠の駅について検討し、8世紀後半以降、国中(甲府盆地)から御坂路を擁する都留郡南部に人とモノの移動が起こり、地域の開発が進むこと、特に河口駅とその周辺は、都留郡ではなく峠の反対側にあたる八代郡の勢力により開発・維持されたことを明らかにした。平成23年6月の古代交通研究会第16回大会シンポジウムでの基調報告を、それ以後の本研究課題の成果も加えつつ成稿したものである。また啓発的論文「天聖令の発見で加速! 日唐「令」研究」では、天聖令の発見の日唐令比較研究における意義について、研究史を含め簡潔に整理した。 学会報告「廐牧令から見た唐日の焼印制度」では、天聖廐牧令による日唐焼印制度の比較を進め、特に考古学研究者との意見交換を行った。また、「酒折宮研究の最前線~遠距離交通体系の視角から~」では、記紀の酒折宮伝承から列島規模の遠距離交通の様相を読み取る作業を継続した。 海外調査としては、11月に中国西安周辺において、漢から唐にかけての長安城、城門と道路遺構、西市、寺院、円丘遺跡などの現地踏査を実施したほか、北京において、中国社会科学院の歴史研究者との研究交流を行った。
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