2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520808
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 英二 信州大学, 人文学部, 教授 (20262678)
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Keywords | 歴史認識 / 記憶 / 偽文書 / 由緒 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究計画に基づき、昨年度と同様に、長野県木曽郡王滝村御嶽神社滝家文書の整理をおこなった。 調査にあたっては、主に本蔵に収蔵されている古文書・古典籍類の整理作業を進めた。調査にあたっては、本蔵に所蔵されている古文書・古典籍について、現状記録・古文書取り上げ・目録編成・データ入力作業を、研究協力者および調査補助員とともに実施した。王滝村は、1984年の長野県西部地震により大きな被害を受けたが、幸いにも滝家古文書は深刻な影響を受けることなく、良好な状態で保管されていたことが確認できた。とくに東蔵は、戦前にわずかに調査された形跡があるものの、戦後には本格的な調査が実施されたことはなかった。 調査の結果、これまで未確認であった多数の古文書や古典籍、祝詞類が大量に発見された。また今年度は、新たに昭和期の登山者名簿が確認することができた。これは現存する「まねぎ」と照合することによって、御嶽講の分布と信仰形態を探る上で、好史料であると推定される。 また新たに18世紀末から19世紀初頭の近世の訴願書類を新たに確認することができた。これらは、江戸や名古屋から御嶽講が大挙して登山を開始する事情を詳細に記しており、御嶽信仰の近世的な展開・発展過程を知る上で好個のものである。 このほか、滝家古文書の保管状況や保存環境、古文書群の構成を比較参照するために、新潟県小千谷市魚沼神社、静岡県浜松市、東京大学史料編纂所、大阪市中之島図書館などにおいて、寺社関係の史料調査を実施し、成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究開始年度にあたる2011年には、東日本大震災と長野県栄村の長野県北部地震の影響で、研究の開始がやや遅れたが、2年目を終了した時点では、史料調査と目録の編成は、おおむね順調に実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、昨平成23年度と同様に、大地震の影響で遅れがちであった古文書の調査、目録編成に重点を置いて作業を進めた。とくに二つある蔵の内、本蔵の整理については、順調に整理作業を進展させた。そこで平成25年度中に、仮目録の目途をたてたい。 本蔵に所蔵される古文書・古典籍については、引き続き目録編成とデータ入力作業を進める。また適宜必要な史料については、デジタルカメラで撮影する。また仮目録の刊行に向けて、準備作業を進める。 東蔵に所蔵される史料については、現状記録作業と1点ごとの取り上げ作業をおこないたい。 ほかに関連する史料保存機関などでの調査も同時に実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には、本蔵の調査を終了し、新発見の東蔵の調査を実施したい。また目録編成が終わった古文書・古典籍・祝詞については、データ入力作業を進めると同時に、デジタルカメラによる撮影も進めていきたい。 また、当初の計画では、本年度中に史料調査の実施を予定しながら、研究の進捗状況により遅れている部分の次年度使用額が生じている。 次年度の使用額については、5年計画の中間に当たる3年目でもあることから、目録刊行に向けて、史料調査に重点を置いて進めていきたい。
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Research Products
(3 results)