2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520808
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 英二 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (20262678)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史認識 / 記憶 / 偽文書 / 由緒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の研究計画に基づき、昨年度に引き続いて長野県木曾郡王滝村御嶽神社滝家文書の整理作業を進めた。滝家文書は、本蔵と東蔵の2か所に保存されている。本年度は、両方の蔵について、未整理分の古文書・古典籍・古祝詞の調査を実施した。 調査にあたっては、2か所の蔵に保存されている古文書・古典籍・古祝詞について、現状記録作業・文書取り上げ作業・目録編成・データ入力作業・デジタルカメラ撮影作業を鋭意進めた。作業に当たっては、研究協力者および調査補助員の助力を得た。王滝村は、1984年の長野県西部地震によって大きな損害を被ったが、幸いにも御嶽神社滝家文書は深刻な被害を免れた。しかし今年度は、2015年9月27日に発生した御嶽山の噴火により、多数の死者・行方不明者が発生し、御嶽神社山頂の社務所も被災した影響もあり、一時調査を中断せざるを得なかった。 調査の結果、中世から近現代にいたる膨大な史料が残されていることが判明し、現時点では新たに判明したものを含め、47箱の史料を確認した。目録編成作業は、ほぼその主要な部分は終了させる目途がついた。来年度の目録刊行に向けて、今年度は、目録用紙に記述されたデータを、電子化する作業をほぼ終了させることができた。くわえて重要な史料については、デジタルカメラにより撮影作業を進めた。 このほかにも関連調査を、東京都徳川林政史研究所・東京大学史料編纂所・国会図書館・国立公文書館、千葉県国立歴史民俗博物館、新潟県小千谷市魚沼神社などにおいて実施した。これにより、御嶽信仰や由緒・偽文書にかかわる様々な史料情報を蓄積することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、東日本大震災に関連して、同年3月12日に発生した長野県栄村の地震の影響により、本格的な調査の開始が遅れた。しかし3年目の2013年度にはほぼ調査は順調に進展した。とくに現状記録作業はほぼ終了した。目録編成・データ入力作業は鋭意進めている。しかし2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火により、調査先の御嶽神社山頂社務所が被災し、多くの死者・行方不明者が発生した影響で、一時調査が中断を余儀なくされた。しかし年度末には徐々に調査を再開することができた。現時点で47箱分の調査が完了しており、研究期間内での目録編成完了の目途がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、御嶽山の噴火により生じた遅れを取り戻しつつ、最終年度ということもあり、目録刊行など成果の取りまとめに向けて調査・研究に邁進する。具体的には、本蔵と東蔵の保管状況を整備し、紙媒体の目録データの電子化作業を進め、冊子体での印刷を予定している。そしてデジタルカメラによる文書類の撮影を完了させる。
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Causes of Carryover |
平成26年度には、9月27日に発生した御嶽山噴火の影響で、10月以降、年末まで調査が中断した。また11月22日に長野県白馬村で発生した長野県神城断層地震の古文書レスキュー活動に参画し、調査に遅れを生じた。そのため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、次年度使用額とあわせて、6月から調査を再開し、調査回数と1回当たりの調査日数を増加することで、使用計画を策定する予定である。また目録編成・データ入力だけではなく、関連史料の調査を各史料保存機関で実施し、データの蓄積を進めていく。
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Research Products
(1 results)