2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520813
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 覚 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (80324995)
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Keywords | 藩祖 / 神格化 / 長州藩 / 薩摩藩 |
Research Abstract |
本年度は、薩摩関連資料の収集は、膨大にある文献資料を中心に行なった。そのため、『鹿児島県史料集』(刊行分第53集まで)・『鹿児島県史料』(刊行分76冊まで)のなかから、相互貸借の制度を利用して本学に取り寄せ必要な箇所を閲覧していく地道な作業が続いている。とくに、伊地知季安の著作や藩士の日記類には、祖先顕彰や宗教に関わる重要な史料が散見されることがわかってきた。 また、調査は、薩長以外の事例を同時代として押さえておく必要性から、広範囲に行なった。おもな調査は、畿内と北陸諸藩の関係である。まず、宮津藩、福井藩、大野藩、金沢藩、茨木藩、亀山藩、膳所藩、淀藩に関わる史跡調査や文献調査である。史跡調査は二度にわけて実施した。一つは北陸諸藩の調査で、藩祖の神格化と藩主の墓所関連の調査を行った。二つ目には、京阪地域の小藩クラスの史跡調査で、文献調査は京都府総合資料館を中心に各自治体図書館・博物館の調査を通じて実施していった。 また、幕末維新期の追悼調査関係では、山口県内の招魂場(田布施町惣田山招魂場・峨眉山招魂場)の調査を実施することができ、現状を認識することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)薩摩藩関係資料の膨大さ 前述したように、薩摩藩関連の史料集は膨大にあり、所蔵諸機関より取り寄せて行なう作業は想像以上に時間を要している。内容から判断して取り寄せているものの、神格化や祖先顕彰に関わる項目はどこに出てくるかわからずローラー的に閲覧している状況である。ただ成果はあがっているので、この方法を次年度以降も踏襲していくことが求められる。 (2)長州藩関係と追悼資料 これについてはあまり進捗がないが、山口県内の招魂場二箇所を調査したのみである。残りの調査および薩摩藩の護国神社等の調査も必要である。薩摩藩の神仏分離と追悼問題は相当関連があることは仮説的には説明できるが、さらに実証的な研究が求められるところであろう。 (3)他地域資料と国家関連資料 これについては國學院大學研究開発推進機構「招魂と慰霊の系譜に関する基礎的研究」が大きな成果をあげており、その成果によるところが大きい。こうした成果も踏まえて進めていくと効率的な研究進展が見られると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本年度は、『鹿児島県史料集』・『鹿児島県史料』の調査にめどをつけ、東京大学史料編纂所の島津家文書や鹿児島県歴史資料センター黎明館・鹿児島県立図書館所蔵の関連資料を調査する必要があり、その調査に着手する予定である。 (2)長州藩と追悼関係資料についても追跡は、今年度浜松の報国隊に関する資料を収集して大村益次郎との接点を探っていくこととする。戦争を実際に進めていく (3)明治政府関連資料 近年の研究成果を吸収して行なっていく。その際、キリシタン問題も念頭におきつつ史料集を行ない議論を詰めていく必要がある。 (4)方法論的な研究 今までの講読を踏まえて、フランス革命関連の研究と、東アジアの研究の専門家と宗教的なあり方をめぐる研究会を実施して日東西の研究現状を確認していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、『鹿児島県史料集』・『鹿児島県史料』などの文献資料を相互貸借の制度を利用して本学に取り寄せ必要な箇所を閲覧していく地道な作業を中心に据えた。そのため、鹿児島への史料調査を先送りした関連でその旅費・史料複写代などが残額として残った。だが、必用な史料調査なので次年度の使用を考えている。 『鹿児島県史料集』・『鹿児島県史料』などの文献資料閲覧作業のめどがつき次第、延期となった鹿児島県への調査を2014年度(平成26年度)中に実施することを計画している。
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Research Products
(1 results)